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2023/06/14

税務調査よもやま話【相続編Vo.4】

税務調査よもやま話【相続編Vo.4】

「念には念を」

(1)譲渡代金の使途調査

被相続人(亡くなった方)が生前に不動産などを譲渡していた場合、その譲渡代金の使途(使い道)を確認するために相続税調査が行われる場合があります。

例えば1億円で土地を譲渡し、その内容を記載した所得税の確定申告書を税務署に提出した方が亡くなった場合において、その方の相続税の申告書に記載された預貯金が1千万円しかなく、替わりに購入したと思われる不動産なども見当たらない場合は、譲渡代金の使途がはっきりしないため、税務署は「相続財産として申告されていないのではないか」との疑いを持つことになります。

もちろん、譲渡代金で借入金を返済している場合もありますが、そうした事実関係を確認するための調査が行われる場合がある、ということです。

(2)譲渡代金はどこに?

その日の相続税調査の対象は、被相続人様が亡くなる1年ほど前に、保有されていた山林をゴルフ場の用地として10数億円で譲渡されていた案件でした。
所得税の申告内容からすると、税金や諸経費を差し引いて8億円ほどが手元に残る計算でしたが、相続税の申告財産が非常に高額で多岐にわたっていたため、譲渡代金が相続財産に反映しているかが判然としなかったことから、調査が必要と判断されていました。

調査は相続人様のご協力でスムーズに進みましたので、私は頃合いを見計らい、「ところで、ゴルフ場開発のために譲渡された土地の代金はどうなりましたか。」とお聞きしました。
すると、相続人様からは「税金と経費分を除いて、X銀行のY支店で8億円の定期預金にしました。」と、また、税理士さんからは「まだ遺産分割していないので被相続人名義で預けたままです。定期預金として申告してあります。」と、いずれも淀みなくお答えがあり、定期預金証書もその場で提示していただきました。

私は拍子抜けして「そうでしたか。」と言いながら相続税の申告書を確認しましたが、どうしても、その銀行名や該当する定期預金が見当たりません。
「あの、申告書には見当たらないのですが・・。」の私の一言で、その場の雰囲気は一瞬で凍り付いてしまったのでした。

(3)ありえないこと

相続人様も税理士さんも税理士事務所の職員さんも、皆さん異口同音に「確かに申告してあります。」、「書き漏らすなんてありえない。」と主張されました。
相続人様は何が起きたのか理解できず、税理士さんは申告書の控と私が持っていた申告書の写しを見比べ、職員さんは真っ青になって震えながら事務所に電話し、全員で何度も申告書の記載内容と計算を見直した結果、「やはり申告書には記載されておらず、相続税の計算に含まれていない」との結論に至りました。

その場では、何らかの手違いによる単純な申告漏れと思われましたが、「これほど高額な預金がうっかり申告漏れとなることはありえない。あえて意図的に申告しなかったに違いない。」と判断され、後日、重加算税が賦課決定されることになりました。
その後の不服申立と訴訟の結果、重加算税は取り消されましたが、相続人様は加算税や延滞税、弁護士費用などの金銭的な負担とともに、相当な精神的負担を強いられることになってしまいました。

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 ✓ 念には念を。申告する内容は確実に確認しましょう。
  ⇒申告内容に誤りがあると、納税者自身がその責任を負うことになります。

 ✓ 高額な収入があった場合はあらかじめ使途を明らかに。
  ⇒相続税調査を短期間で終了させるための一助となります。

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