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2024/03/26

遺言書に書かれた内容は絶対ではない? 遺言書が持つ効力と意義を解説!

遺言書に書かれた内容は絶対ではない? 遺言書が持つ効力と意義を解説!

サスペンスドラマやミステリー小説によく登場する遺言書。
物語の都合上、遺言状の内容に従うことが前提でストーリーが進むことが多いようですが、現実では遺言書の内容の通りに執行されないケースも数多くあります。
今回は、遺言書の種類と遺言書を用意する意義について解説します。

(1)遺言書の種類

法律で定められた遺言書には3つの種類があります。
これらに該当しないものは遺言書として認められず無効となります。

  1. 自筆証書遺言
    被相続人が自ら直筆で記載する遺言書です。
    署名は直筆であることが条件なので、すべてをパソコンで入力したものは認められません(※1)
    なお、自筆証書遺言は執筆した本人が保管しているケースが多いので、他の人が保管場所を知らないと発見されないままになることもあります。 発見された場合でも、見つけた人が自分にとって不利な内容だと判断した場合、破棄したり改ざんしたりされるなどのリスクがあります。 さらに、専門的な知識がない人が書くので遺言書の内容が解釈できず執行が不可能になるケースも少なくありません。 なお、法務局のホームページに「自筆証書遺言書の様式」の例が公開されているので、参考にしてみてください。

    ※1 法改正により、平成31年(2019年)1月13日以降、本文とは別に作成した場合の「財産目録」はパソコンでの入力や代筆が可能となりましたが、署名捺印や本文に関しては自筆での作成が必要となるため、注意しましょう。

    参考:法務局「自筆証書遺言書の様式」
    https://houmukyoku.moj.go.jp/gifu/content/001321184.pdf
  2. 公正証書遺言
    公証人が被相続人の意図を汲み取って作成する遺言書です。
    第三者の2名が証人となり、遺言書を作成し、原本は公証役場で保管をするので、紛失や改ざんのリスクはありません。
    内容に関しても、公証人という法律の専門家が作成してくれるため、相続手続きにおいても、実効性が伴ったものになります。
    公正証書遺言の作成は、通常税理士や弁護士、司法書士等の専門家に協力してもらい、公証役場で作成します。
    費用は相続させる人数や財産額によって異なりますが、一般的には約30万円前後となります。
  3. 秘密証書遺言
    秘密証書遺言は、遺言書を公証役場で認証してもらえる遺言書です。
    公証役場は認証するだけで内容の確認も預かりもしません。
    誰にも内容を知られたくない場合などに利用されますが、自筆証書遺言と同様に紛失や破棄、内容が不十分で実行が不可能などのリスクがあります。
    また、認証には費用(1万1,000円)がかかります。あまりメリットがないので利用されるケースは滅多にありません。

(2)「遺言書には絶対従わなければならない」とは限らない

遺言書に書かれたことは絶対である、と思っている方も多いかもしれません。
ですが実態は、たとえ書式自体は法的に有効な遺言書であっても、書かれた内容にすべて従う必要はないケースがあります。具体的な例としては以下の2つがあります。

  1. 内容が実行不可能な場合
    特に自筆証書遺言では、内容に矛盾があったり、実態に見合わなかったりなど、遺言書の執行が現実的に不可能なケースがかなりあります。
    また、書いてある内容が感情的で、具体的に何をどうすればいいのかが読み取れないケースもあります。
    このような場合は、たとえ書式自体は法律的に有効な遺言書であっても、正確な執行が不可能になる可能性があります。
    実は、専門的な知識を持たない人が、法律や税制に基づいて、かつ明確に伝わるように遺言を書き上げるのはかなり難しいのです。
  2. 遺留分を侵害された時
    遺言書があっても法定相続分は受け取れると思っている人も多いかもしれません。
    ですが、遺言書は法定相続分に優先するので、遺言書の配分が法定相続分以下であっても異議申し立てはできません。ただし、遺留分については請求できます。
    遺留分とは、「一定の相続人に対して認められている、最低限の遺産を受け取れる割合」のことです。法定相続分と混同されがちですが、遺留分については遺言書に書かれていなくても請求ができます。
    たとえば、相続人が配偶者と子ども1人の場合、法定相続分はそれぞれ1/2ずつとなります。一方、遺留分はそれぞれ1/4となります。


(3)家族間のトラブルを防ぐために「遺言書作成のススメ」

「特に大きな財産もないし、遺言書なんてウチには無縁」。そんなことを考えている方も多いかもしれません。特に若いうちは、遺言書を意識する人も少ないでしょう。ですが、私個人としては、いざという時に遺族の負担を減らすためにも、遺言書は作っておいた方がよいと考えています。
たとえば、私には妻と子どもが一人います。万が一、私に何かがあったら、妻と子どもが相続人です。ですが、子どもはまだ幼く未成年なので、相続の手続きには代理人が必要となります。つまり、妻が二人分の相続手続き担当することになります。その際、余計な負担やトラブルが起きないように、私は遺言書を用意しています。
また、夫婦に子どもがいない場合、もしくは独り身の場合も遺言書を用意しておいた方が後々のトラブルを避けることができます。
たとえば、子どものいない夫婦で一方が亡くなった場合、相続人は配偶者と亡くなった方の親となります。そして、親も亡くなっていた場合、相続人は配偶者と兄弟となります。 遺言書がない場合、法定相続分に応じて配分されるのが理想です。しかし、すべての財産が金銭で分配できるケースは稀です。また、土地、自家用車、美術品などの財産は金銭のように数字で割り切れないので、法定相続分で決められた配分に応じきれない可能性が高くなります。
誰が、何を、どのように相続するのかについては、相続人同士で協議を行う必要があります。そして、その協議は全員一致で合意がなされなければなりません。親類縁者の全員と仲がよいのならよいのですが、すべての人がそうであるとは限りません。中には、疎遠で連絡が取れない相続人がいるケースもあります。このような場合であっても、遺言書があれば、残された遺族の負担を最小限に止めることができます。

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✓ 法的に有効な遺言書は、(遺留分を除き)書かれた内容の通りに執行されなければなりません
⇒ もっと相続税を低くする手段があったとしても、遺言書が公表されると、その手段を利用できない可能性があります。ですから、遺言書を作成する際は、一度、専門の税理士に相談して「この内容で問題ないか?」「もっと相続税を削減する手段はないか」などを確認することをお勧めします。


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