1. HOME
  2. 法務・税務・労務など会社経営に関するお役立ち情報
  3. 事業承継
  4. ちょっとの準備が大きな差に! 相続が起きた時の対応と、生前にやっておくべきこととは?
2024/03/27

ちょっとの準備が大きな差に! 相続が起きた時の対応と、生前にやっておくべきこととは?

ちょっとの準備が大きな差に! 相続が起きた時の対応と、生前にやっておくべきこととは?

相続は誰もが必ず経験するものです。一方で、頻繁に経験するものではないため、あまり積極的に調べたり準備したりする人も少ないと思われます。
そして、いざ相続が発生した時に、何をどうすればいいのかがわからず困る人も多いようです。
その時になって困らないように、今回は相続税の解説と相続税が発生する前にすべき対策や注意点についてご紹介いたします。

(1)相続の開始日

相続の開始日は、基本的に被相続人が亡くなった日となります。
ただ、事情(失踪、被災など)によって、相続人が亡くなったことを知らなかったケースもあります。
このような場合は「相続の開始を知った日(被相続人が亡くなったことを知った日)」が開始日となります。

(2)相続税の申告が必要な人はごく一部

相続税は相続の開始日の翌日から10か月以内に、税務署へ申告及び納税をする必要があります。
しかも、原則現金一括払いとなっています。
なお、相続税には基礎控除があります。
その計算式は以下となります。

3000万円+(600万円×法定相続人の数)

このように、最低でも相続する額が3,600万円(法定相続人が一人の場合)を超えない限り、相続税の申告をする必要はありません。
遺産を相続すれば必ず相続税が発生すると思われがちですが、実際はほとんどの人が支払う必要がありません。
ちなみに国税庁によると、令和4年は課税割合9.6% と公表されています。
つまり、9割以上の方は相続税が発生していないのです。
また、原則として遺産には所得税はかかりませんが、土地や美術品など、相続した財産を売却して得た利益には所得税がかかる場合があります。

(3)相続が発生するとわかった時にすべきこと

相続税が発生する(もしくはその可能性がある)場合は、税務署から通知が届く場合があります。
相続額が明らかに基礎控除以内である場合は、申告の必要がないので慌てる必要はありません。


しかし、基礎控除を超える場合は早めに財産の確認が必要です。
土地・建物などの財産については、それぞれ決められた方法に基づいて評価額を算出します。
預金や証券などは金融機関に問い合わせて確認します。
複数の金融機関と取引をしている場合は、そのすべてを確認する必要があります。
負債があった場合、後で発覚するとトラブルになる可能性が高いので、取引の可能性がある金融機関には、できるだけすべて確認した方がよいでしょう。
ただ、住んでいた場所にあるすべての金融機関を調べるのは、なかなかに大変です。
また、ネットバンクやネット証券、暗号通貨などに財産がある場合、個人ですべてを完全に把握するのは現実的に難しいと言えるでしょう。
ですが、税務署は国内外ほぼすべての金融機関と情報を紐つけているので財産の取引を見落とす可能性は限りなくゼロに近くなります。(※すべての金融機関取引情報を常時把握している訳ではありません)
そのため、通知が来てからあわてないように、できる限り調べておくべきです。

(4)事前の準備で相続税が大幅削減。生前贈与がお得な理由

近年、生前贈与について注目が集まっています。
理由は簡単で、生前贈与の方が圧倒的にお得だからです。
事前に準備をしておけば相続にかかる税金を大幅に減らすことができます。
また、準備にかける期間が長ければ長いほど、取れる対策も多くなり、よりお得になります。たとえば、本来なら1,000万円の相続税が発生する場合でも、10年の準備期間があればほぼゼロにできます。たとえ1年の準備期間だったとしても、何も準備していない場合と比べれば十分な効果が期待できます。

(5)相続対策の落とし穴。二次相続に注意

相続税対策の手段として配偶者控除の活用があります。
夫婦の一方が亡くなった場合、配偶者が受け取る「一次相続」の財産には配偶者控除(1億6,000万円又は法定相続分のいずれか高い方)があります。
そのため、配偶者の遺産配分を多くすると全体の相続税を削減することができます。
ただし、この方法には落とし穴があります。
それは、相続した配偶者が亡くなりその遺産を子どもが相続する「二次相続」では、税率の構造上、相続税が高くなってしまう場合があるという点です。
二次相続では配偶者控除が利用できません。
また基礎控除も、配偶者が亡くなった分の法定相続人が減るので控除額が減額されます。 そのため、一次相続で配偶者の配分を多くすると、二次相続で支払う相続税が増える可能性があります。
本来なら、一次の相続税が1,000万円かかるところをゼロにしても、二次相続で相続税が2,000万円になるケースもあるので注意が必要です。

yomoyama-shita.jpg

✓ 家族間で十分に話し合うことが大切。困ったら専門家に相談を
生前贈与にしても二次相続にしても、事前に対策を取っておけば、かなりの額の相続税を抑えることができます。
しかし、それらをスムーズに実行するには、家族間で十分に話し合い、意思共有をする必要があります。
相続は、人の生き死にとお金に関わることです。どのような手段を選択するにしても、家族全員がそれを理解し、納得していなければスムーズには進みません。


最近は、相続に関して解説する書籍やウェブサイトも増えました。
それらを中途半端に見聞きして、正確な理解が得られないまま物事を進めるのは非常に危険です。
特に税制度は頻繁に改正されるので、古い書籍や情報を参考にしてしまうと得をするどころか損をしてしまう可能性もあります。
ですから、もし相続について悩んでいるのでしたら、専門家である税理士への相談をお勧めします。
近年では、ほとんどの税理士事務所が無料相談を受け付けています。
ミカタでも、初回無料にて相続・相続税に関する相談を受け付けています。
最近では、金融機関が税理士を呼んで無料の相談会を開催するケースもあります。
ただし、税理士にも得手不得手があります。
法人の決算申告を得意とする税理士でも、相続については疎く適切な提案ができない可能性もあります。
ですから、無料相談をする際も、必ず「相続もできる」ではなく「相続が専門」の税理士を選ぶようにしてください。

関連記事

おすすめ記事