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2024/04/11

令和における中小企業のM&A 譲渡理由は後継者不在だけじゃない!

ちょっとの準備が大きな差に! 相続が起きた時の対応と、生前にやっておくべきこととは?

中小企業庁が2023(令和5)年4月28日に発行した2023年版「中小企業白書」によると、2022年の国内企業におけるM&A件数は過去最多の4,304件に上りました。なお、中小企業の後継者不在率は57.2%と半数以上と、M&Aが増加している大きな理由となっています。一方で、近年は後継者不在とは別の理由でM&Aが実施されるケースも増えています。今回は、令和の時代になって変わりつつあるM&Aの実態について紹介します。



(1)M&Aの一般化が進む一方で条件のいい案件は減少気味

日本におけるM&Aは飛躍的に増加しており、企業の経営戦略にも欠かせない手法の一つとなっています。
M&Aには様々な目的がありますが、日本国内においては、後継者不足に悩む中小企業が第三者への事業承継を目的としてM&Aを実施するケースが増えています。一方で、中小企業M&Aが社会的にも一般的になってきたことを背景に、「財務良好かつ後継者不在」という、優良なM&A案件は少なくなってきているように感じます。もし、そのような案件があった場合、たとえばオーナーに強いこだわりがあったり、コンプライアンス面でグレーな部分があったりなど、なにかしらの問題を抱えていて、今までM&Aの検討がすすまなかった可能性が高いです。

(2)早期のM&Aを望むオーナーが増加

前述したように、これまでの国内の中小企業におけるM&Aは「高齢の経営者が後継者不在のため、事業承継を目的として」実施するケースが主流でした。しかし近年になって、まだまだ働き盛りの年代である経営者がM&Aを検討しているケースも増えてきています。 大きな理由としては、少子化や晩婚化が考えられます。40~50代の経営者の中にも、自分が高齢になっても子供がまだ幼い、もしくは子どもがおらず後継者自体が不在というケースが増えています。また、先代からの事業継承で苦労した二代目などは、子どもに同じ思いはさせたくないと考えている方もいます。
その結果、無理に後継者を探すより、早い時期にM&Aで資金を得て、自分や家族のために役立てたいと考える方が増えてきているのです。
また、人手が足りず事業が立ち行かなくなっている中小企業の場合、大企業にM&Aをしてもらうことで事業の継続を望む方もいます。
社会や時代が変わり、そして人の考え方も変わった現在では、会社を存続させる方法や考え方も変わりつつあるようです。

(3)M&A市場に存在する地域差

前述したように、近年のM&A市場は非常に活発になっています。一方で、そこには地域差も存在します。
基本的に、人口の多い都市圏の方が活発で、地方に行けば行くほど数は少なくなります。もちろん、地方は単純にM&Aで企業を買収する企業の絶対数が少ないというのが大きな理由です。ですがもう一つ、無視できない理由があります。それは、M&Aを仲介する人材の不足です。多くの場合、地方の金融を担う存在は、その地域に根付いた地銀や信金、信用組合です。しかし、M&Aの件数が少ない地域ではM&A業務の経験者も少なく、中小企業M&Aの知識や経験が不足しがちです。また、M&A仲介会社も、買い手が見つかりづらい地方にはあまり積極的に営業をしていないため、中小企業のオーナー経営者への情報提供が不足しがちになります。

ただし、すべての地方都市においてM&Aが停滞しているわけではありません。たとえば、瀬戸内海沿岸や南九州などの工業地帯では、比較的活発にM&Aが行われています。県民性や地域の歴史的背景などによっても、M&Aの浸透具合は地域差があるようです。

(4)重要性が増すセカンドオピニオン

M&Aは買い手と売り手が存在して、はじめて話が進みます。通常、買い手は少しでも安く買いたい、売り手は少しでも高く売りたいと考えます。しかし、この考えに囚われすぎると話がスムーズに進まず、M&Aのお話辞退が進まない可能性が高まります。
もちろん、価格にこだわること自体は問題ではありません。特に売り手にとっては、大切に育てた会社であればあるほど、正当な評価を求めなくなるのは当然でしょう。しかし市場には相場というものがあります。高過ぎれば買い手はなかなか現れません。逆に安すぎると「何か問題があるのでは?」と勘ぐられてしまう可能性もあります。ですから、あくまで「相場の範囲内」で、できるたけ高く売り、できるだけ安く買うというのが正しいM&Aの形だと言えます。
とはいえ、M&Aの相場について知っている経営者はほとんどいません。ほとんどの場合は、地元の金融機関や仲介会社からの情報の頼ることになります。しかし、前述したように地方の金融機関はM&Aに関する情報も経験も不足しがちで、仲介会社も業務経験が浅い会社や担当者が多くなってきていることも事実です。M&Aの相場をかけ離れた、成約しないであろう条件で検討してしまうことは避けなければならず、以前にも増して、正しいM&Aの情報を選別することの難易度は上がっているように感じます。 ですからM&A市場の相場を知るためには、一社の情報に頼らず、複数の仲介会社からセカンドオピニオンを得ることが大切です。
時には、耳の痛い意見を伝える仲介会社がいるかもしれません。ですが、市場における正当な評価を知るためには、都合のいい話ばかりを伝える仲介会社よりも信頼できることでしょう。なお、ミカタには全国各地で事業継承とM&Aを実施してきた豊富な実績があります。もし、M&Aにご興味がありましたら、お気軽にご相談ください。

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