1. HOME
  2. 法務・税務・労務など会社経営に関するお役立ち情報
  3. 事業承継
  4. 税務調査よもやま話【相続編Vo.7】
2024/09/25

税務調査よもやま話【相続編Vo.7】

税務調査よもやま話【相続編Vo.7】

「土地の面積」

(1)相続税における土地の面積

相続税の申告のために土地を評価する方法として、国税庁が定める「財産評価基本通達」では、①国税庁が公表する路線価を基とした1平方メートル当たりの金額に、土地の面積を乗ずる方法(路線価方式)、②市区町村が定める固定資産税評価額に、国税庁が公表する評価倍率を乗ずる方法(倍率方式)、の二通りがあります。

これらのいずれの方法においても、土地を評価する上では土地の面積が重要となりますが、この土地の面積の考え方について財産評価基本通達では、「課税時期(相続があったとき)の実際の面積による」と定めています。

ところで、土地の実際の面積を知るためには土地を実地に測量するのが最も有効と考えられますが、税務署の実務では全ての土地に実地の測量を求めることはしておらず、「明らかに市区町村の固定資産課税台帳に記載された面積よりも実際の面積の方が大きい地域の場合には、測量を求める場合がある」としています。

ただし、「実際の面積による」ことが基本ですので、現実に実地の測量が行われた土地であれば、当然その測量結果に基づいて評価することになります。

実地の測量が行われていたケースとして、過去に次のような経験をしました。

(2)その1 はじめから分かっていたのなら

ある相続税の調査先は、相続税の申告に当たり、被相続人様(亡くなられた方)のご自宅の敷地を、市役所の固定資産課税台帳に記載された面積に基づいて、路線価方式で評価していました。

調査にお邪魔した被相続人様のご自宅で相続財産や関係資料を拝見していると、権利証など不動産に関する書類の中に、生前に行われたご自宅の建替え工事の際の敷地の地積測量図があり、そこに記載されたご自宅の敷地面積が、固定資産課税台帳の面積よりもかなり大きいことが確認されました。

相続税の申告書は調査に立ち会われた税理士さんが作成されていましたが、私が不動産の関係書類を拝見しようとしたところ「そんな物は見る必要ないでしょ。」とおっしゃるくらい評価に無関心な方だったようで、私は相続税における土地面積の考え方からご説明し、修正申告をお願いすることになりました。

(2)その2 あとで分かった場合でも

ある相続税の申告では、被相続人様が所有されていた市街地の畑を、市役所の固定資産課税台帳に記載された面積に基づいて路線価方式で評価していました。

相続人様は、申告書を提出した後、相続税を納税するためにその畑を売却し、翌年その売却に関する所得税の確定申告をしましたが、確定申告書に添付された売買契約書の写しに記載された土地の面積は、固定資産課税台帳の面積を上回る測量結果による面積となっていました。

相続人様と関与の税理士さんからは、「相続税申告のための実地測量が必須とされていない以上、固定資産課税台帳の面積で評価した相続税の申告に誤りはないから、申告後に面積の相違が把握されても、申告内容を是正する必要はないのではないか。」との主張がありましたが、相続開始の前後で土地の面積が自然に変わるわけもなく、「相続のあったときの実際の面積による」という基本どおりに、修正申告をお願いすることになりました。

yomoyama-shita.jpg

 ✓ 相続税では、土地の面積は実際の面積によります。
  ⇒いわゆる「縄伸び」があるといわれる地域の場合は注意が必要です。
  ⇒既に測量済であった土地の場合は、その測量結果に基づいて評価します。



 

関連記事

おすすめ記事