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2023/01/16

国税OBが「税務調査の現場」を語る!税務調査よもやま話【相続編Vo.1】

国税OBが「税務調査の現場」を語る!税務調査よもやま話【相続編Vo.1】

「徳川埋蔵金?! 隠された金の延板」

<よもやま話その1>相続税に対する税務調査とは?

毎年、国税庁が査察調査の実績を公開しており、様々な場所に隠された財産が発見されたことが新聞やテレビで伝えられるため、税務調査と聞かれると「隠し財産が暴かれる」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、一般の税務調査は任意の調査のため強制的な捜索は行われませんし、特に相続税の調査では、相続から2年程度を過ぎてから、しかも多くは事前連絡の上で行われますので、一般の税務調査でいきなり隠し財産が発見されるケースは少ないのが現状です。とはいえ、次のケースの様に、一般の税務調査でも最終的には多額の財産が発見される場合があります。

<よもやま話その2>100キログラムの金の延板

それは平成10年代も後半のころ、相続財産として100キログラムの金の延板(当時の価額で約4億円)が申告されていた相続税に対する税務調査のお話です。調査を担当した私は、被相続人様(亡くなった方)のご自宅にお邪魔して、相続人様にお願いし、ご自宅の物置部屋に保管されていた金の延板を拝見しました。1キログラムの延板が百本、並べてみると実に圧倒的な眺めで、私だけでなく同行した税務職員や調査に立ち会った税理士さんも、しばし呆然としていたことを覚えています。
後日、私は金の延板に刻印されていた記号番号を基に、製造業者等を通じて延板の製造から販売に至るルートを確認しました。すると、申告された延板は、被相続人様の地元の貴金属店で販売されたものであることが分かりましたので、その貴金属店にご協力いただき、記号番号と合致する販売記録を調査しました。

<よもやま話その3>暴かれる未申告の隠し財産

あらためて相続人様にお会いし、調査の経緯を具体的にお話しして、本当のことを明かしていただくように繰り返し丁寧にお願いしたところ、税理士さんを交えて熟慮された末、「別荘の倉庫にコンクリート詰めにして分からないようにしてある、申告していない金の延板があります。」と明かしていただくことができました。すぐに相続人様と一緒に別荘に向かい、延板の保管場所である倉庫内で、バーベキュー用の薪が置かれていたコンクリ―トの台をハンマーで壊していただき、中からプラスチックケースに小分けされた多量の金の延板を発見しました。しかしながら、並べて数量を数えてみたところ、架空名義での購入と想定した数量よりも少ないことから、他にもあるはずでは、とお聞きしたところ、「ヨットハーバーに置いてあります。」とのお答えがありました。 そこでヨットハーバーに直行して確認したところ、ヨットを陸揚げする際に使う船台の円筒形の鉄柱の中から、タオルに包んで針金で吊るした金の延板を、また、ヨットのキャビンの戸棚から、架空名義で一部の延板を売却した際の現金を発見しました。新たに発見された金の延板は、売却された分を含んで都合100キログラムであり、当初に申告されていた数量と同量、金額で約4億円となりました。相続人様によると、被相続人様から亡くなる数日前に別荘内の延板のありかを教えられ、「ばれない分だから申告しなくて良い。」と言われたということでした。

まとめ:税務調査におけるワンポイントアドバイス


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  ✓相続財産は包み隠さず申告しましょう。

   ⇒ 隠した財産はなかなか表に出せないため、結局使えない財産となります。
            また遺産分割協議書に記載できないため、分割協議に支障が生ずる場合があります。

   ⇒ 相続税の税務調査では、財産の運用・形成の状況が詳細に調査されます。
             貴金属の様に匿名性の高い財産でも、取引の痕跡は残っているものです。

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