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2024/06/11

【税務調査よもやま話】その4

【税務調査よもやま話】その4

『~資産に計上していれば、見つからないと思いました~』

(1)架空資産の計上

国税局が所管する大規模法人の食料品を製造する会社さんへ税務調査でおじゃましたときのお話です。
関東・中部地方のスーパーマーケットで販路を広げる会社さんです。商品名を聞けば、「あー、あれっ!」って誰もが知っている食品を製造されています。
結論からお話ししますと、新工場建設用地の地権者らへ地元対策費を支出するために、架空資産を計上していたものです。もちろん重加算税が賦課されました。
この不正操作の内容は、商品配送用トラックの荷室に改良を加え機能アップしたとしていわゆる“資本的支出”を減価償却資産に計上していたものです。しかし、実際にはこの改良はされていませんでした。この支出額は、いずれ決められた耐用年数で減価償却費として費用計上がされます。表に出せない地元対策費を減価償却費という科目で数年に分け費用計上したことになります。
実行者に事情をお聴きすると、修繕費で大きな金額を計上すると、税務署さんは資産計上になるのではないかと深堀調査をするが、過去の税務調査で応対した経験から資産に計上していると問題視されないことがあり、『資産に計上していれば、見つからないだろうと思った』と。

(2)修繕費と資本的支出

上記(1)が資本的支出を利用した事例なので「修繕費と資本的支出」に触れます。
 税務調査では、必ず経費中に、特に修繕費の中に資本的支出となるものがないかチェックされます。修繕費と資本的支出の違いは何となく分かっていても、現場で判断するのは非常に難しいものです。

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税務調査官の一部にも、ただその金額や施工規模が大きいから修繕費ではなく資本的支出に該当すると主張する方もいます。そうではありません。あくまでもその「修繕の内容」により判断することとなります。金額等がどんなに大きくとも、上記ロに該当すれば修繕費に該当するのです。

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 ✓ 当たり前のことですが、不正経理(売上除外、架空経費計上など)は行わない。
  ⇒“バレ元”ではありません。重加算税対象になると本税額と同等額の加算税、延滞税を負担することになります。約2倍の税負担になります。

 ✓ 修繕費の判断

  1. 修繕前、修繕後の写真を撮っておく
  2. 定時経年修繕なのに、見積書、請求書の工事内容には「改良」、「改善」、「機能向上」などの言葉が使われている
    ⇒仕様変更がなく同等部材による修繕なら使わないように発行元と調整する。
  3. 修繕費に計上する根拠を計上時に整理し判断する。

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