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2022年10月からの社会保険適用拡大とはどんな制度?
2022年10月より、法律改正により段階的に一部のパート・アルバイトの方の社会保険の加入が義務付けられます。
今回は、適用拡大の概要についてご紹介いたします。
1.対象となる企業の規模は?
2022年10月から適用拡大の対象となる会社の規模は、次のとおりです。
※全従業員数ではありません。また、適用拡大の対象となるパート・アルバイトや70歳以上で
健康保険のみ加入している被保険者も、対象に含めません。
パート・アルバイトにおいては、501人以上の大企業以外は週所定労働時間がフルタイムの3/4未満の勤務であれば
加入は必要無いとされていましたが、2022年10月からは101人以上の企業が対象に
そして2024年10月からは51人以上の企業が適用拡大の対象になります。
◆適用拡大の対象となるタイミング
厚生年金の被保険者の総数が、直近12ヶ月の内、6ヶ月以上100人を
超えることが見込まれる場合に該当します。
2022年10月の時点で上記の要件を満たす場合 ⇒ 2022年10月から適用拡大の対象
2022年12月より上記の要件を満たす場合 ⇒ 2022年12月から適用拡大の対象
適用拡大の対象になることを「特定適用事業所該当」といいます。
一度、特定適用事業所に該当すると、その後100人以下に従業員数が減少しても自動的に不該当にはなりません。
被保険者の4分の3以上の同意を得る必要があります。
◆特定適用事業所に該当しないが、加入させたい場合
100人以下の企業であっても、労使合意(同意対象者※の2分の1以上の同意)がある場合は、
任意適用事業所の届出を提出することで、パート・アルバイトも社会保険加入させることができます。
但し、任意適用事業所に該当すると、加入を希望しないパート・アルバイトの方も社会保険加入が義務付けられますので、注意が必要です。
※同意対象者とは、厚生年金被保険者、70歳以上被用者、適用拡大の
対象となるパート・アルバイトの方々をいいます。
2.対象となるパート・アルバイトの要件は?
次の4つの要件をすべて満たす方です。
①週の所定労働時間が20時間以上フルタイム勤務の3/4未満
②月額賃金が88,000円以上
③2ヶ月を超える雇用見込みがある
④学生では無い
①週の所定労働時間20時間以上とは?
基本的には、就業規則や雇用契約書等で定められた時間で判断します。
しかしながら、パートやアルバイトの場合、シフト制など週によって労働時間が変動するケースがあると思われます。
そのような場合は、1ヶ月の所定労働時間を4.3週※で除して、週20時間以上であるか否か判断します。
また、月により労働時間が増減するケースもあると思われます。
その場合は、実労働時間が2ヶ月連続で週20時間以上となり、なお継続することが見込まれる場合は、
3ヶ月目から保険加入することになります。
※1年間(52週)÷12ヶ月=4.33
②月額賃金88,000円以上とは?(いわゆる年収106万円の壁)
基本給や諸手当を指し、残業代・賞与・臨時給与(結婚手当等)を含みません。
具体的には、以下の賃金は除外できます。
・1ヶ月を超える期間毎に支払われる賃金(賞与等)
・割増賃金(時間外・休日・深夜労働)
・最低賃金に算入しないことが定められた賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
ちなみに、健康保険に被扶養者の収入要件に年収130万円未満という要件がありますが、
年収130万円未満であっても、上記4つの要件に該当する場合は加入が必要となります。
③2ヶ月を超える雇用見込みがあるとは?
最初の雇用契約の期間が2ヶ月以内であっても、次の(ア)(イ)いずれかに該当する場合は、
2ヶ月を超える雇用見込みがあると判断されます。
(ア)就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は
「更新される場合がある旨」が明示されていること。
(イ)同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、契約更新等により
最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績があること。
社会保険は、2ヶ月以内の短期の雇用は適用除外とされていましたが、こちらも法改正により
「2ヶ月を超えて使用されることが見込まれないもの」という要件が追加されました。
社会保険は、試用期間中であっても加入が必要です。「入社してもすぐに退職してしまうことが多いから、
しばらく様子を見たい」といったご要望が多いのも事実ですが、今後は厳しくチェックされることになります。
④適用となる「学生」とは?
主に、昼間学生を指します。休学中や夜間学生・通信制課程に在学する方などは加入対象です。
また、昼間学生であっても、卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、
卒業後も引き続き同じ会社で勤務する予定の方は加入対象となります。
3.まとめ
適用拡大により、手取り額が減ってしまうことだけがクローズアップされがちですが、
社会保険に加入すると、病気による休職中の所得補償(傷病手当金)や育児休業中の社会保険料免除、
産前産後休業期間中の所得補償(出産手当金)や将来もらえる年金が増額するなど、
メリットもたくさんあります。また、扶養の枠を超えて働けることになるため、家計の収入もUPします。
ミカタ社会保険労務士法人では、社会保険加入による手取り額や将来受け取る年金増加額、
傷病手当金や出産手当金の日額を試算することができます。ぜひお気軽にご相談ください!
<参考>
社会保険適用拡大ガイドブック
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/pdf/guidebook_jigyonushi_a4.pdf
短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集
(その2)(令和4年10月施行分)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/QA0410.pdf