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2026/09/01

中小企業オーナーへ、税理士法人からの本音 M&A業者には言えない、税理士法人だからこそお伝えできること ――手取り・従業員・老後まで、「成約の先にある人生」を一緒に考えられるか

中小企業オーナーへ、税理士法人からの本音 M&A業者には言えない、税理士法人だからこそお伝えできること ――手取り・従業員・老後まで、「成約の先にある人生」を一緒に考えられるか

中小企業オーナーへ、税理士法人からの本音
M&A業者には言えない、税理士法人だからこそお伝えできること
――手取り・従業員・老後まで、「成約の先にある人生」を一緒に考えられるか

はじめに:M&Aを検討するオーナーが最初に直面する「3つの課題」

「後継者がいない」「体力的にそろそろ限界を感じている」「会社をより大きくできるパートナーに託したい」――M&Aを検討するオーナーの動機はさまざまですが、共通しているのは「会社の将来と自分の人生を、同時に考えなければならない」という難しさです。

しかし多くのオーナーが、M&Aの入口で重要な判断を誤ります。それは「誰に最初に相談するか」という問いです。今後の課題を整理します。

課題 1
自社がいくらで、どのようなスキーム(株式譲渡・事業譲渡など)で売却できるのかがわかっていない
放置リスク:
提示された金額やスキームの妥当性を判断できず、想定より手取りが少なくなる可能性があります。
課題 2
仲介業者の「アドバイス」が自社にとって最善かどうかわからない
放置リスク:
業者の利益を優先した条件で交渉が進むリスクがあります。
課題 3
M&A後の自分の生活・人生設計が描けていない
放置リスク:
売却益を受け取った後の人生設計が白紙になってしまう恐れがあります。

これらの課題を解決するためのカギは、M&Aを「点」ではなく「線」で見てくれる相談相手を持つことです。

1. M&Aの基本:オーナーにとって何が変わるのか

M&A(Mergers and Acquisitions)は、直訳すると「会社の合併・買収」ですが、中小企業のM&Aでは実質的に「会社の買収・売却」を指すのが実態です。売り手であるオーナーの立場から見れば、自社を買い手に売却する取引にあたります。中小企業においては主に「株式譲渡」や「事業譲渡」の形で行われ、オーナーが保有する株式や会社の事業を買い手に売却することで、経営権が移転します。

オーナーにとって、M&Aで変わることを整理すると以下の通りです。

項目 1
会社の所有権・株式の所有権
M&A前:
オーナー(自分)
M&A後:
買い手企業・買い手企業オーナー(新オーナー)
項目 2
経営の意思決定
M&A前:
オーナーが最終決定
M&A後:
親会社・新経営陣が決定
項目 3
個人の手取り収入
M&A前:
役員報酬・役員賞与・配当
M&A後:
株式の売却代金・役員退職金(一時収入)、継続勤務の場合は役員報酬など
項目 4
従業員の雇用
M&A前:
オーナーが守る立場
M&A後:
買い手側の経営方針のもとで引き継がれる
(雇用継続の条件は交渉で取り決め可能)
項目 5
老後の生活基盤
M&A前:
会社依存度が高い
M&A後:
売却代金を基に再設計が必要

M&Aは「会社を売る」だけでなく、「オーナー自身の人生を再設計する」行為でもあります。だからこそ、財務・税務・人生設計を総合的に見てくれるパートナーが不可欠なのです。

2. M&A仲介業者の役割と、そのビジネスモデルを理解する

M&Aの相談先として最初に思い浮かべるのが、M&A専門の仲介業者でしょう。彼らは買い手と売り手をマッチングし、交渉・契約をサポートする専門家です。その知見と業界ネットワークは非常に有用であり、M&Aプロセスにおいて欠かせない存在です。

一方で、オーナーとして知っておくべき重要な点があります。それは仲介業者のビジネスモデルです。

多くのM&A仲介業者は「成功報酬型」で収益を得ます。つまり、M&Aが成約して初めて大きな報酬が発生する仕組みです。このモデルの構造上、「いかに案件を成約させるか」が組織としての最優先事項になりやすく、結果として営業活動に重きを置く会社になりがちです。また、成約しやすい特定の有力な買い手(いわゆる「ストロングバイヤー」)への提案に偏りやすく、交渉のスピードを最優先事項として進めてしまう傾向も見られます。これはビジネスとして当然の合理性であり、仲介業者を否定するものではありません。ただ、オーナーとしてはこの構造を理解したうえで相談することが重要です。

仲介業者はM&Aのプロセスを動かすことに長けていますが、「その後のオーナーの手取りがいくら残るか」「売却後の税負担はどうなるか」「老後の生活資金として十分か」といった、成約後の人生設計まで踏み込むことは、本来の業務範囲を超える場合があります。

重要なのは、M&A仲介業者と「その後の人生を設計する専門家」の役割を明確に分けて考えることです。

3. 「成約」がゴールではない――本当のゴールはその先にある

① 手取り額はいくら残るのか

M&Aで1億円の売却代金を受け取ったとして、手元に残るのはいくらでしょうか。株式譲渡益には約20%の税金(所得税・住民税)がかかります。また、M&A仲介費用(成功報酬)も数百万〜数千万円に上ることがあります。

さらに、退職金をどう受け取るか、役員報酬をいつ・どう整理するか、生命保険やリース資産といった簿外資産をどのタイミングで清算するかによっても、最終的な手取り額は変わってきます。こうした要素が絡み合うため、「売却代金=手取り額」では決してありません。

M&Aを検討し始めた段階で、税理士と連携して「手取りシミュレーション」を行うことが、後悔のない決断につながります。

② 従業員・取引先はどうなるのか

M&Aの条件を検討する際、多くのオーナーが特に重視するのが、長年共に働いてきた従業員の雇用維持と、信頼を積み上げてきた取引先との関係継続です。

M&Aの条件交渉においては、こうした「非財務的な要素」についても明文化しておくことが重要です。しかし、成約を急ぐあまりこれらが曖昧なまま進んでしまうケースがあります。

日頃から会社の実態をよく知る税理士や顧問が交渉に関わることで、財務数字だけでなく「会社の文化や人的資産」も含めた適切な条件設定につながります。

③ オーナー自身の「その後の人生」は

多くのオーナーが見落としがちなのが、M&A後の自身の生活設計です。毎月の役員報酬がなくなり、一時的な売却益は受け取ったものの、その後の収入基盤を再設計しなければなりません。近年はM&Aを選択する売り手オーナーの年齢が下がる傾向にあり、売却後の人生が20年、30年と長期に及ぶケースも増えています。「老後」という言葉だけでは片付けられない、現役世代としてのセカンドキャリアや資産運用の設計が、これまで以上に重要になっています。

退職金の受け取りタイミング・NISA・不動産投資・個人保険の整理など、M&A後の資産運用計画はM&Aと切り離せない問題です。「売ってから考える」では遅く、M&Aプロセスと並行して設計しておく必要があります。

4. 「線」で考えるとはどういうことか――税理士法人が伴走する意味

「点」で考えるとは、M&Aという一つのイベントだけを切り取って判断することです。「今いくらで売れるか」「どの買い手がいいか」――これらは重要ですが、それだけでは不十分です。

「線」で考えるとは、M&Aを「オーナーの人生全体の文脈」に位置づけて判断することです。

  • 創業から今日までの財務の流れを把握している
  • 役員報酬・退職金・配当の最適化を継続的に支援してきた
  • 法人・個人の両面から税務戦略を設計してきた
  • M&A後の資産運用・老後設計まで一貫して関与できる

こうした「線」の視点を持てるのは、長年にわたってオーナーの会社と個人財務を知り続けてきた税理士・税理士法人です。

M&A仲介業者が「今この取引を成立させること」のプロであるならば、税理士法人は「オーナーの人生を最終的に豊かにすること」を目標に動く存在です。両者の役割は補完的であり、どちらが優れているかという話ではありません。重要なのは、両者をうまく組み合わせ、自分の利益を守るコーディネーターを持つことです。

M&Aを検討する際に税理士・税理士法人に相談することで、次のような具体的なメリットがあります。

メリット 1
手取り最大化のシミュレーション
具体的な内容:
株式譲渡益・退職金・役員報酬の最適な組み合わせを試算
メリット 2
M&A前の財務整理
具体的な内容:
簿外資産・含み損益・貸付金などを事前に整理し企業価値を高める
メリット 3
税務デューデリジェンスへの対応
具体的な内容:
買い手側の調査に適切に対応し交渉を有利に進める
メリット 4
売却後の資産設計
具体的な内容:
売却益の運用・退職金設計・相続対策まで一貫して対応

5. M&Aを検討する前に整えておくべき「5つの財務基盤」

「M&Aを考え始めたら、まず税理士に相談を」とお伝えする理由のひとつが、事前準備の重要性です。M&Aの交渉では買い手側が最終局面で詳細な財務調査(デューデリジェンス)を行います。この時点で財務が整理されていないと、簿外負債や会計処理の誤りが見つかり、企業価値の評価が下がったり、交渉が滞ったりするリスクがあります。

  • 決算書の正確性:過去3〜5期分の決算書が適切に作成・保管されているか
  • 役員貸付金・関係会社との取引:不透明な資金の流れが残っていないか
  • 簿外資産・簿外債務の整理:生命保険・リース契約・オーナー個人名義になっている会社関連資産などを棚卸しし、会社の財務諸表に表れていない資産・負債を事前に把握できているか
  • 退職金の原資確保:オーナー自身の退職金をどこから・いくら出すかが設計されているか
  • 知的財産・契約の整備:取引先との契約、許認可、特許等が会社名義で適切に管理されているか

こうした準備がどこまで整っているかは、支援する専門家がどの段階からM&Aに関与しているかによって大きく変わります。M&Aの初期段階から税理士が入っていれば、これらの項目は早い段階から計画的に検討・提案されるべき内容です。逆に、直前になって初めて向き合うことになる会社ほど、準備不足のまま交渉に入ってしまうリスクが高くなります。

これらを整えるには1年以上かかることもあります。「売りたいと思ったとき」ではなく、「いつかはM&Aも選択肢に」と考え始めた段階で、税理士と準備を始めることが理想です。

6. やってはいけないこと:M&Aで失敗するパターン

最初から仲介業者にだけ相談して話を進めてしまう
M&A仲介業者は取引成立のプロですが、成功報酬型のビジネスモデルである以上、「成約させること」が組織としての目標になりやすい構造があります。オーナーの税務・財務・老後設計の全体を見る立場にはなく、それは本来の業務範囲でもありません。最初の相談を仲介業者だけで完結させると、気づけば「成約ありき」で話が進んでいた、という事態になりかねません。仲介業者への相談と並行して、税理士にも早期に相談することを強くお勧めします。
「高く売ること」だけを優先して条件を判断する
売却価格は高いほど良いと思いがちですが、手取り額・従業員の処遇・自社の企業文化の継続性など、金額以外の要素も最終的な「満足度」を大きく左右します。数字だけでなく、非財務的な条件も含めて総合的に判断することが重要です。
M&A後の生活設計を「売ってから考える」
売却益を受け取った後、それをどう運用・管理するかは、M&Aの前から計画しておくべきことです。売却後に「思ったより手元に残らなかった」「老後の収入がなくなった」とならないよう、M&Aと並行して個人の財務設計を進めましょう。
焦りから「今すぐ決めなければ」と急いで判断する
M&Aには「良い買い手が今いる」「今が売り時」という文脈でスピードを求められる場面があります。しかしオーナーにとって会社の売却は一生に一度の大きな決断です。適切なアドバイザーを持ち、十分な準備をしたうえで判断することが、長期的な満足につながります。
ワンポイントアドバイス

まとめ:M&Aは「出口」ではなく「次のステージへの入口」

M&Aは、オーナーにとって「会社を手放すこと」ではなく、「次のステージへの移行」です。会社は新しいオーナーのもとでさらに成長し、オーナー自身は次の人生を豊かに歩んでいく――そのような結果を実現するためには、成約という「点」だけでなく、その前後を含めた「線」の視点が欠かせません。

M&Aを検討し始めたとき、最初に相談すべきは「自分の会社と人生を長期で見てくれる存在」です。M&A仲介業者の専門知識を活用しつつ、日頃から財務・税務・人生設計を総合的に支援してくれる税理士法人と連携することで、はじめて「本当に良いM&A」が実現できます。

「誰に相談するか」が、M&Aの結果を左右します。

【無料相談のご案内(ミカタ税務顧問ご契約のお客様限定)】

ミカタの税務顧問をご契約のお客様を対象に、M&Aに関する無料面談を承っております。「会社の売却をなんとなく考え始めた」「買収による事業拡大が頭にある」といった漠然とした段階からでもご相談いただけます。具体的な検討に入る前の情報整理や方向性の確認だけでも、ぜひ担当スタッフまでお気軽にお申し付けください。

【免責事項】
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定のM&A取引・税務判断・金融商品を推奨するものではありません。記載の税制・制度は2026年6月時点の情報に基づいており、今後変更される可能性があります。具体的な判断については、税理士・M&Aアドバイザー等の専門家にご確認ください。

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