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2026/11/02

【令和8年4月改正】少額減価償却資産の特例 40万円未満まで一括経費に!改正のメリットと見落とせない罠

【令和8年4月改正】少額減価償却資産の特例 40万円未満まで一括経費に!改正のメリットと見落とせない罠

少額減価償却資産の特例、令和8年4月から取得価額「30万円未満」→「40万円未満」に引上げ
~対象拡大の裏にある注意点と、中小企業オーナーが今すぐ確認すべき対応~

中小企業が消耗品や設備を購入した年に全額を経費にできる「少額減価償却資産の特例」。令和8年度税制改正により、対象となる取得価額の上限が「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられました。物価上昇や設備価格の高騰を踏まえた措置で、これまで対象外だった30万円台のパソコンや専門機器なども一括で経費計上できるようになります。

しかし、「対象が広がった」という点だけに注目していると見落としがちな変更点もあります。適用対象となる企業の従業員数要件は「500人以下」から「400人以下」へ引き下げられ、これまで対象だった一部の企業が対象外になる可能性があります。また、年間300万円という合計上限は据え置かれるため、購入のタイミングや順序を誤ると節税効果を十分に活かせません。

本記事では、制度の概要と令和8年度改正のポイントを整理したうえで、中小企業オーナーが2026年のうちに確認・対応すべき課題を解説します。

1. 少額減価償却資産の特例とは

正式名称は「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」。青色申告を行う中小企業者等が、一定金額未満の減価償却資産(パソコン、什器備品、ソフトウェアなど)を取得した場合、通常の耐用年数にわたる減価償却ではなく、取得した事業年度に取得価額の全額を損金(必要経費)として計上できる制度です。1事業年度あたり合計300万円が上限となっています。

平成18年4月1日取得分から続く制度で、これまで期限が到来するたびに延長を重ねながら、多くの中小企業で設備投資の節税策として活用されてきました。今回の改正前の適用期限は令和8年3月31日でした。

2. 令和8年度税制改正で何が変わったのか

令和8年度税制改正大綱により、以下の見直しが行われました。

  • 取得価額の上限を「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げ(令和8年4月1日以後に取得する資産から適用)
  • 適用期限を令和11年3月31日まで3年間延長
  • 対象となる中小企業者等の従業員数要件を「500人以下」から「400人以下」に引き下げ
  • 年間合計限度額は300万円のまま据え置き

物価や設備価格の上昇を踏まえ、これまで適用対象外だった30万円台の資産も一括で経費にできるようになる点は、中小企業にとって歓迎すべき改正といえます。

3. 見落としがちな注意点-「対象拡大」の裏にある「対象者の縮小」

取得価額の上限引き上げばかりが注目されますが、実務上見落としてはならないのが対象企業の要件変更です。常時使用する従業員数が400人を超える企業は、令和8年4月1日以降、この特例そのものが使えなくなります。これまで400人超500人以下の従業員数で特例を利用していた企業は対象から外れるため、早めの確認が必要です。

また、適用の基準は「取得日」がいつかで決まります。同一の事業年度であっても、令和8年3月31日以前に取得した資産は従来どおり「30万円未満」、4月1日以後に取得した資産は「40万円未満」が基準となるため、決算期をまたぐ設備投資では取得日の管理が特に重要です。他者に貸し付ける目的で取得した資産(レンタル・リース事業などを除く)は、改正後も原則として対象外である点は変わりません。

4. 今すぐ対処すべき課題

課題① 決算期をまたぐ設備投資のタイミング調整
影響範囲: 令和8年4月前後に設備投資を予定する会社
  • 検討中の設備投資が30万円台であれば、令和8年4月1日以後の取得(事業の用に供する時期)に合わせられないか確認する
  • 急ぎで必要な資産は改正を待たず、現行基準(30万円未満)の範囲内で対応するかを判断する
  • 発注から納品・稼働開始までのスケジュールを顧問税理士と共有し、取得日がどちらの基準に該当するか確認する

重要な理由: 適用される基準は契約日ではなく実際に取得し事業の用に供した日で判定されます。決算期をまたぐ発注では、取得日次第で使える基準額が変わってしまいます。

課題② 従業員数400人超えの該当確認
影響範囲: 従業員数400人前後の会社
  • 現在の常時使用従業員数を確認する(雇用形態を問わず、常時使用しているかどうかで判定)
  • 400人を超える場合、令和8年4月以降は特例が使えなくなることを前提に、中小企業経営強化税制など代替の設備投資減税を検討する
  • グループ会社を含めた従業員数のカウント方法を顧問税理士に確認する

重要な理由: 取得価額の上限が引き上げられても、従業員数要件から外れれば特例そのものを使えません。想定より早く対象外になる企業もあるため、要件を正確に確認しておく必要があります。

課題③ 年間300万円の上限管理・購入計画の見直し
影響範囲: 複数資産の取得を予定する会社
  • 取得価額の上限が上がることで1件当たりの単価も上がり、より少ない件数で年間上限に達する可能性を試算する
  • 複数の資産購入を予定している場合、事業年度をまたいでの購入時期の分散を検討する

重要な理由: 1件あたりの上限が上がっても年間合計の上限(300万円)は変わりません。購入計画を見直さないと、早い時期に取得した資産で上限に達し、後半に取得した資産が特例の対象外になる可能性があります。

課題④ 確定申告の明細書(別表十六(七))添付の準備
影響範囲: 制度を初めて利用する会社
  • 帳簿上で損金経理(費用計上)を行った上で、確定申告書に専用の明細書を添付する準備をする
  • 経理担当者・顧問税理士と、対象資産の管理方法(一覧化など)を事前に整理する
  • 即時償却した資産も、翌年1月の償却資産税(固定資産税)の申告対象になる点を漏らさず確認する

重要な理由: 手続きを怠ると特例の適用が認められず、通常の減価償却に引き戻されるリスクがあります。

課題⑤ 貸付用資産は対象外である点の確認
影響範囲: レンタル・リース事業を行う会社
  • 主要な事業がレンタル・リースでない場合、貸付目的で取得する資産に本特例が使えるかを事前に確認する
  • 対象外となる資産については、他の減価償却関連の税制優遇の活用を検討する

重要な理由: 改正後も「貸付の用に供した資産」は原則として対象外のままです。誤って適用すると、税務調査で否認されるリスクがあります。

5. 改正前後の比較

取得価額の上限
改正前
30万円未満
改正後(令和8年度税制改正)
40万円未満
年間合計限度額
改正前
300万円
改正後(令和8年度税制改正)
300万円(変更なし)
対象企業の従業員数
改正前
常時使用従業員500人以下
改正後(令和8年度税制改正)
常時使用従業員400人以下
適用期限
改正前
令和8年3月31日まで
改正後(令和8年度税制改正)
令和11年3月31日まで(3年延長)
適用開始(新基準)
改正前
―
改正後(令和8年度税制改正)
令和8年4月1日以後に取得する資産から

取得価額の上限は引き上げられますが、年間合計限度額(300万円)は変わらないため、「1件あたりの枠が広がった分、購入計画にも余裕ができた」と誤解しないよう注意が必要です。

6. 制度活用にあたっての注意点

即時償却の対象とした資産であっても、償却資産税(固定資産税)の申告は引き続き必要です。あわせて、償却資産に係る固定資産税の免税点も見直され、令和9年度以後の固定資産税から「150万円」が「180万円」に引き上げられる見込みです。特例の活用と償却資産税の申告は別の手続きであるため、経理担当者と情報を共有しておくとよいでしょう。

なお、消費税を取得価額に含めるかどうかは経理方式によって異なります(税込経理方式は消費税を含めた金額、税抜経理方式は消費税を含めない金額で判定)。取得価額が40万円前後の資産を検討する際は、経理方式による判定額の違いにも留意してください。

ワンポイントアドバイス

「取得価額の上限は上がったが、対象企業の要件は狭まった」を前提に動く

少額減価償却資産の特例は、取得価額の上限が40万円未満へ引き上げられ、多くの中小企業にとって使い勝手が向上します。一方で、従業員数要件の引き下げや、取得日による基準の切り替わりなど、見落とすと特例を使い損ねる変更点も含まれています。

まずは自社の従業員数と、今後予定している設備投資の取得時期を確認し、令和8年4月1日をまたぐ購入がある場合や、特例の適用可否・設備投資のタイミングに迷われた際は、ぜひ早めにミカタグループの税理士にご相談ください。

【ご案内】

ミカタグループでは、必要に応じて司法書士・弁護士・行政書士・社労士とも連携し、中小企業オーナーの経営課題に総合的に対応しています。お気軽にご相談ください。

参考資料
・国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
・中小企業庁「少額減価償却資産の特例を拡充しました」
・令和8年度税制改正大綱(2025年12月19日公表)

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