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面倒ごとはシステムにお任せ!中小企業のためのクラウド会計のススメ
経営者目線で考えるクラウド会計導入のメリット
今、クラウド会計を導入すべき理由
企業の経理・会計業務において欠かせない存在である会計ソフト。これまでは使用するコンピュータごとにインストールするアプリケーション型が主流でしたが、最近はインターネットで接続してブラウザ上から処理を行うクラウド型サービス(クラウド会計)を導入する企業も増えています。
クラウド会計を導入すると、経理・会計など業務面の効率化が進みます。さらに、経営面においてもさまざまなメリットがあります。そこで今回は、業務効率化の視点に加え、経営者の視点から見たクラウド会計を導入するメリットを紹介します。
(1)業務効率化の視点で考えるクラウド会計のメリット
「業務効率化の視点から見た、一般的なクラウド会計のメリットとデメリットには以下のようなものがあります。
ここにあるメリットとデメリットは、アプリケーション型の会計ソフトとクラウド会計との違いでもあります。つまり、クラウド会計のメリットは会計ソフトのデメリットであり、クラウド会計のデメリットは会計ソフトのメリットでもあります。
たとえば、会計ソフトはインターネットが繋がらなくても利用が可能です。また、一度ライセンスを購入すると、(有償バージョンアップなどを除いて)追加の費用は発生しません。
一方で会計ソフトは、基本的に1ライセンス1ユーザーなので、データ入力は「ソフトがインストールされたPC」からしかできません。また、入力データはPCごとに保存されるので複数のライセンスを所有していたとしても、データの集約は手動で行う必要があります。
クラウド会計は(アクセス権限があれば)誰でも「自分のPC」からデータを入力できます。専門的な知識を持たない一般の従業員でも指定された項目に入力していけば、自動的に各種書類を作成してくれます。さらに、入力されたデータは、自動的にクラウド上にデータベースに集約されます。
また、近年は会計や税制に関する法律の改正が頻繁に発生していることもあり、制度や法改正に対応した最新のバージョンが利用できる点も、クラウド会計が持つ大きなメリットとなっています。
(2)経営者視点で考えるクラウド会計のメリット
前述したクラウド会計のメリットは、経理業務の効率化という、どちらかといえば現場目線のものでした。ここからは、もう少しマクロな経営者の目線から見たクラウド会計のメリットについて、いくつか紹介します。
- お金の流れが一目で把握できる
前述したように、クラウド会計では入力したデータは自動的にクラウド上にあるデータベースに集約されます。そしてデータは集まれば集まるほど活用が進みます。
一般的なクラウド会計には、請求、支出、入金など、お金の流れをわかりやすく表示するダッシュボード機能が搭載されています。また、インターネットに繋がっていれば、いつでも、どこからでも、リアルタイムでお金の流れを把握することができます。
もちろん、会計ソフトにもお金の流れを可視化するダッシュボード機能は搭載されています。ただ、それは会計ソフトがインストールされたPCからしか確認できません。
クラウド会計「Money Forward」のダッシュボード】
- 社内の仕組み作りにかかる負担を軽減する
たとえばスタートアップ企業や急激に成長した企業などは、社内処理の仕組み作りに苦労します。請求書を発行する場合でも、書類フォーマットの作成から承認の手順、請求先への送付方法など、事前に決めておかなければならないことがたくさんあります。このような処理の仕組みをゼロから組み立てるのはかなり大変です。また、処理の仕組みに間違いがあると、お金の流れが不意明瞭になるだけでなく、法律違反に問われる可能性も生じます。
ほとんどのクラウド会計には、経理・会計・税務の社内処理に必要な、さまざまタイプのテンプレートが標準で用意されています。また、指定された手順に沿って進めていけば、法律に則った書類も自動的に作成されます。
ゼロから社内処理の仕組みを作るより、クラウド会計のテンプレートや手順を利用する方が、手間も掛からず、かつ早く処理の仕組みを作り上げることができます。 - 経理・会計データを自社で管理できる
決算の処理を税理士に丸投げしている場合、それらのデータは税理士側のシステムに蓄積されます。未来永劫、その税理士と付き合いが続くのであればよいのですが、なんらかの理由で税理士の変更を余儀なくされる可能性はあります。その場合、税理士が過去のデータを提供してくれるかどうかは契約次第となります。
「こちらが提供した書類を入力したデータなのだから、データの所有権はこちらにある」と考える方も多いことでしょう。しかし過去には、裁判所によって「会計データの著作権はデータを作成した税理士にある(東京地裁平成25年9月6日判決)」との判断が下されたこともあります。
この判例は、内容も複雑なため、すべてのケースに当てはまるとは限りません。そもそも、データには所有権が存在しないという考え方もあります。ただ、所有権が存在しないのであれば、税理士側が引き渡す必要がないとも考えられます。事前に契約を結んでいない場合、データの引き渡しを拒否される可能性があることを十分に考慮しておくべきです。
会計ソフトを利用している場合、経理関係の入力データは社内のPCに保存されてはいます。しかし、決算・税務に関する最終的な帳簿のデータが税理士側のPCに保存されている場合は注意が必要です。
クラウド会計の場合、すべてのデータが会社側と税理士側で共有されます。たとえ税理士を変更したとしても、そのサービスを解約しない限り、データはクラウド上に残ります。 基本的に、クラウド会計を利用していれば、データの所有権で揉める可能性は、ほぼありません。ただ、万が一のことを考慮して、税理士と契約する際はデータの扱いについても取り決めをしておく必要があるでしょう。
※サービスを解約した場合、クラウド上のデータにはアクセスできなくなります。ただ、ほとんどのサービスは、データを他のソフトやサービスで閲覧できる形式にエクスポートする機能が搭載されています。サービスを解約する際は事前にデータをエクスポートするようにしましょう。
(3)税理士視点によるクラウド会計のメリット
ここまでは経理の現場や経営者など、ユーザー側の視点から見たクラウド会計のメリットをお伝えしました。ここからは、私たち税理士の視点からクラウド会計を利用するメリットをお伝えします。税理士にとって、クラウド会計を導入する最大のメリットは、お金の流れに関する問題点を「事前に把握できる」点です。決算時に領収書や請求書をまとめて受け取るだけでは、お金の流れは把握できません。もし、税務・財務上の不備があったり、社内に不正なお金の流れが発生していたりしても、それに気が付くことはできません。
不備や不正が後から発覚した場合、そのダメージは計り知れません。特に税制に関しては、発覚が遅ければ遅いほど、課せられる罰則は大きくなります。
クラウド会計を導入していれば、税理士側でも出金と入金の流れをリアルタイムで把握できます。万が一、不備や不正があったとしても、事前に把握して対処することができます。また、お金の流れを把握できれば、より効果的な節税対策のご提案もできるようになるでしょう。
(4)慣れれば簡単なクラウド会計
MIKATAでは、クラウド会計サービスである「Money Forward」の導入をサポートしています。そして、お客様にクラウド会計を紹介する際に、「昔から使っている会計ソフトで大丈夫」、「新しいサービスを覚えるのは大変」などのお言葉をいただくこともよくあります。
確かに、新しいソフトやサービスは、慣れるまでに時間がかかります。使いはじめは戸惑うことも多く、不便に感じることも多いことでしょう。しかし、ソフトやサービスは、新しければ新しいほど、間違いなく便利で使いやすくなります。古くて使いにくいシステムを利用している企業と、新しくて便利なシステムを利用している企業、どちらに高い成長が期待できるかは言うまでもありません。