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2026/10/27

贈与は年末が締め日 ―今年の「110万円」、忘れずに使い切っていますか?

贈与は年末が締め日 ―今年の「110万円」、忘れずに使い切っていますか?

贈与は年末が締め日
―今年の「110万円」、忘れずに使い切っていますか?

生前贈与といえば、教育資金や住宅取得資金など、特定の目的に使える大型の非課税制度に目が向きがちです。しかし、その土台にあるのは、誰でも使える「年間110万円までの贈与は非課税」というシンプルな基礎控除です。この基礎控除は1月1日から12月31日までの1年単位で計算されるため、今年使わなかった分を来年に持ち越すことはできません。本記事では、贈与の基本である暦年贈与の仕組みと、年末までに確認しておきたいポイントを整理します。

1.贈与税の基本―「暦年課税」の仕組み

個人から財産の贈与を受けたときにかかるのが贈与税です。贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、多くの人にとって基本となるのが暦年課税です。

暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除110万円を差し引いた残りの金額に贈与税がかかります。逆にいえば、1年間に受け取った贈与の合計が110万円以下であれば、贈与税はかからず、申告も不要です。

2.「今年の110万円」は、今年のうちに

この基礎控除でもっとも重要なのは、1年ごとにリセットされるという点です。今年110万円の枠を使わなかったとしても、来年に「220万円」として繰り越すことはできません。年をまたいでしまえば、その年の非課税枠は消えてしまいます。

毎年コツコツと贈与を続けることで、将来の相続財産を計画的に減らしていく――これが暦年贈与の基本的な考え方です。「今年はまだ贈与していない」という方は、12月31日までに手続きを済ませておく必要があります。

3.暦年贈与を選ぶなら、「7年ルール」に要注意

暦年贈与には、ひとつ大きな注意点があります。贈与した人が亡くなり相続が発生した場合、亡くなる前の一定期間内に行われた贈与は、相続財産に加算されて相続税の対象になるという「生前贈与加算」のルールです。

  改正前 改正後
相続財産に加算される期間 相続開始前3年以内 相続開始前7年以内
延長された4年間(3年超7年以内)の扱い ― その4年間の合計で100万円までは加算対象外

加算対象となる期間は、令和6年1月1日以後の贈与から段階的に延び、最終的に7年に達する仕組みです。基礎控除110万円の範囲内で行った贈与であっても、この生前贈与加算の対象になる点は見落とされがちなので、注意しておきましょう。

なお、生前贈与加算の対象になるのは、相続または遺贈によって財産を取得した人に限られます。たとえば、相続人ではない孫への贈与は、その孫が遺贈などで財産を受け取らなければ、原則として加算の対象になりません。ただし、生命保険金の受取人になっている場合など、遺贈により財産を取得したものとみなされるケースでは加算の対象となるため注意が必要です。

4.相続時精算課税を選んでいる人にも、実は110万円の基礎控除がある

「相続時精算課税」を一度選択すると、暦年課税の110万円の基礎控除は使えなくなる、と思われがちですが、実は令和6年から、相続時精算課税にも独自の年110万円の基礎控除が新設されています。

しかも、この相続時精算課税の基礎控除は、暦年贈与の生前贈与加算のような「相続財産への加算」がありません。年110万円以内の贈与であれば、贈与税がかからないだけでなく、相続財産にも加算されない、という暦年贈与にはないメリットがあります。すでに相続時精算課税を選択している方も、年末に贈与の実績を確認しておく価値があります。

5.目的に応じた「上乗せの非課税枠」も、年末が絡むことが多い

110万円の基礎控除に加えて、目的を限定した大型の非課税措置も存在します。代表的なものが、住宅取得等資金の贈与税非課税特例(省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円)です。この特例は基礎控除110万円と併用できるため、あわせて活用すれば非課税額はさらに大きくなります。

こうした目的別の特例は、「令和◯年12月31日までの贈与」という期限が区切られているものが多いという共通点があります。教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与などの制度も同様に、契約や拠出の期限が定められています。基礎控除110万円を意識するのと同時に、該当する特例がないかも年末にあわせて確認しておくとよいでしょう。

6.年末に向けたチェックリスト

優先順位 確認すること ポイント
1 今年、贈与を行ったかを確認する まだであれば、12月31日までに実行する
2 贈与額が110万円以内かを確認する 複数人から贈与を受けた場合は合計額で判定する
3 暦年課税か相続時精算課税かを確認する どちらを選んでいるかで、生前贈与加算の扱いが変わる
4 目的別の非課税特例が使えないか確認する 住宅取得資金など、基礎控除と併用できる制度がないか確認する
5 贈与の証拠を残す 贈与契約書や振込記録など、後から証明できる形にしておく
ワンポイントアドバイス

生前贈与というと、住宅取得資金や教育資金といった目的別の大型特例に目が向きがちですが、その基本にあるのは「年間110万円までは非課税」というシンプルな仕組みです。この非課税枠は1年ごとにリセットされ、繰り越しはできません。年末が近づいてきたら、まずは今年の110万円を使い切れているかを振り返り、そのうえで住宅取得資金などの上乗せ特例が使えないかもあわせて確認しておくことをおすすめします。

個別の贈与の設計や税額計算については、税理士など専門家にご相談ください。

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