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2026/09/14

弁護士・司法書士・税理士・行政書士、中小企業オーナーが知っておきたい境界線

弁護士・司法書士・税理士・行政書士、中小企業オーナーが知っておきたい境界線

弁護士・司法書士・税理士・行政書士、中小企業オーナーが知っておきたい境界線

1. なぜ「違いがわかりにくい」のか

弁護士・司法書士・税理士・行政書士は、いずれも「業務独占資格」です。つまり、資格を持たない人がお金をもらってその業務を行うと、法律違反になります。しかし、それぞれの業務範囲には重なる部分もあり、「この相談はどの専門家にすべきか」が直感的にわかりにくいことがあります。

わかりやすい原則を先にお伝えすると、弁護士は資格として他の3つの業務もすべて行うことができます(一定の手続きは必要)。一方、司法書士・税理士・行政書士は、それぞれ決められた範囲の業務しか行えません。これを踏まえて、それぞれの役割を見ていきましょう。

2. 4つの専門家の役割を一覧で整理

弁護士
法律事務全般
主な業務
訴訟代理、交渉・示談の代理、契約書のリーガルチェック、法律相談
利用する主な機関
裁判所
司法書士
登記・供託
主な業務
会社設立・役員変更などの商業登記、不動産登記、簡易裁判所での訴訟代理(140万円以下、認定司法書士に限る)
利用する主な機関
法務局
税理士
税務・会計
主な業務
税務代理、税務書類の作成、税務相談、会計業務
利用する主な機関
税務署
行政書士
許認可・書類作成
主な業務
官公署に提出する許認可申請書類の作成・代理(建設業許可、飲食店営業許可など)
利用する主な機関
役所(官公署)

3. 弁護士とは何か

弁護士は、法律事務全般を取り扱う専門家です。契約書の作成・チェック、法律相談、取引先とのトラブルにおける交渉代理、そして訴訟における代理人としての活動まで、幅広く対応できます。

最大の特徴は、紛争(争いのある事案)において、依頼者の代理人として交渉や訴訟を行える点です。弁護士以外の者が報酬を得てこうした法律事務を行うことは、弁護士法によって原則禁止されています(いわゆる「非弁行為」)。取引先との契約トラブルや、株主間の争い、従業員とのトラブルなど、「相手と対立している」場面では、弁護士が窓口になります。

なお、弁護士は資格として司法書士・行政書士・税理士の業務も行えることになっています(税理士業務を行う場合は税理士登録や国税局長への通知など、別途の手続きが必要です)。

4. 司法書士とは何か

司法書士は、登記・供託の専門家です。会社を設立するときの設立登記、役員が変わったときの役員変更登記、本店を移転したときの本店移転登記など、法務局に対する手続きを専門に扱います。不動産の売買や相続の際の不動産登記も司法書士の業務です。

また、一定の研修・試験に合格した「認定司法書士」は、140万円以下の金額の範囲で、簡易裁判所における訴訟の代理を行うことができます。ただし、この範囲を超える訴訟や、簡易裁判所以外での代理はできません。

5. 税理士とは何か

税理士は、税務の専門家です。税理士法上、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つが税理士の専属業務とされており、税理士以外の者がこれらを行うことは原則できません。法人税・所得税・消費税・相続税などの税額計算や、確定申告・法人税申告のサポート、税務調査への対応などを行います。

多くの税理士は、税務だけでなく会計業務(決算書の作成支援や経理のアドバイス)も併せて行っており、中小企業にとっては日常的に最も接点の多い専門家になります。

6. 行政書士とは何か

行政書士は、官公署(役所)に提出する書類の作成・提出代理を専門とする専門家です。建設業許可、飲食店営業許可、外国人の在留資格に関する申請、遺言書や遺産分割協議書の作成など、幅広い許認可・書類作成業務を扱います。

行政書士の業務範囲には重要な制限があります。紛争性のある事案(争いがある場面)には関与できません。 例えば、相続人同士で意見が対立している遺産分割は、行政書士が代理で交渉することはできず、弁護士の領域になります。また、登記の代理(司法書士の業務)や、税務書類の作成(税理士の業務)も行えません。

7. 一つひとつ探さなくてもいい-「総合士業グループ」という選択肢

これまで見てきたように、相談すべき専門家は会社の状況によって異なります。しかし、事業承継やM&Aのように、税務・登記・契約・場合によっては紛争対応まで、複数の分野が同時に関わる場面も少なくありません。そのたびに専門家を個別に探して依頼するのは、経営者にとって手間がかかります。

近年は、弁護士・司法書士・税理士・行政書士といった複数の資格者を同一グループ内に抱え、ワンストップで対応する「総合士業グループ」が増えています。グループ内で各資格者があらかじめ連携しているため、案件の背景や過去の経緯を毎回説明し直す必要がなく、一貫した対応を受けやすいというメリットがあります。

もちろん、シンプルな相談であれば個別の専門家に直接依頼しても問題ありません。しかし、複数の分野にまたがる相談や、「まず誰に相談すればいいかわからない」という場合には、こうした総合体制のグループにまとめて相談することも、有効な選択肢の一つです。

ミカタグループも、税理士法人を中心に、司法書士・行政書士・弁護士と連携した体制を整えており、複数の分野にまたがるご相談を一括で受け付けています。個別に専門家を探す手間を省きたい場合は、こうした窓口をご活用いただくのも一つの方法です。

8. 場面別にみる「誰に相談すべきか」

相談したい場面
適した相談先(専門家)
会社を設立したい
司法書士(設立登記)、行政書士(定款作成・許認可)、税理士(開業後の税務)
建設業・飲食店などの許認可を取りたい
行政書士
決算・税務申告、税務調査への対応
税理士
役員変更・本店移転などの登記
司法書士
取引先との契約トラブル、交渉・訴訟
弁護士
相続(争いがない場合の書類作成)
行政書士・司法書士・税理士(内容による)
相続(相続人間で対立がある場合)
弁護士
事業承継・M&A
税理士(税務)、司法書士(株式・登記)、弁護士(争いがある場合や契約交渉)

9. 中小企業オーナーが注意したいポイント

課題① 「誰に相談すべきか」の見極め
対象 専門家への相談に迷うことがある会社
相談したい内容が「登記」「税務」「許認可」「争いのある交渉・訴訟」のどれに当たるかを整理する
複数の分野にまたがる場合は、まず顧問税理士や顧問弁護士に「誰に相談すべきか」を聞く
具体例:会社設立を検討している会社 / 事業承継やM&Aを控えている会社 など
⚠️ なぜ重要なのか 業務範囲を誤って専門家でない相手に依頼すると、対応してもらえないだけでなく、時間や費用が無駄になることがあります。
課題② 資格外の業務を勧める相手への警戒
対象 コンサルタント等から包括的な提案を受けている会社
「ワンストップで全部やります」という提案の実態が、資格を持つ専門家への適切な取り次ぎなのかを確認する
無資格者が登記・税務書類の作成・紛争交渉などを行っていないかを確認する
具体例:登記や税務まで自分で対応すると説明するコンサルタント / 資格の範囲が不明確な業者 など
⚠️ なぜ重要なのか 資格を持たない者が業務独占資格の業務を行うことは違法行為であり、後になって手続きの有効性に問題が生じるリスクがあります。
課題③ 専門家同士の連携体制の確認
対象 複数の専門家に個別に依頼している会社
税理士・司法書士・弁護士・行政書士がそれぞれ何を担当しているかを整理しておく
複数のルールが関わる場面(事業承継・M&Aなど)では、専門家同士で連携してもらう体制を作る
具体例:事業承継やM&Aなど、複数の手続きが同時に発生する予定がある会社 など
💡 ポイント 連携体制の整理は、日常的な相談の中で徐々に構築していけるものです。専門家間の紹介を依頼する形で進めても問題ありません。
課題④ 争いが生じた場合の早めの切り替え
対象 行政書士・税理士等に相談しながら交渉が難航している会社
話し合いで解決できない状態(相手が対応しない、対立が深まっているなど)になっていないかを確認する
紛争性が生じた場合は、行政書士や税理士では対応できない範囲であることを理解し、早めに弁護士に切り替える
具体例:遺産分割で相続人の意見が対立している / 取引先との契約交渉が決裂しつつある など
💡 ポイント 通常の書類作成や税務対応の範囲では問題ありませんが、対立が深まった段階では専門家の切り替えが必要になります。状況の変化に応じて判断したい課題です。
ワンポイントアドバイス

弁護士・司法書士・税理士・行政書士は、いずれも専門的な資格を持つ「業務独占資格」ですが、担っている役割はそれぞれ異なります。大きな目安としては、登記は司法書士、税務は税理士、許認可などの書類作成は行政書士、そして争いのある交渉・訴訟は弁護士、と整理できます。

複数の専門家が関わる場面(会社設立、事業承継、M&Aなど)では、誰に何を相談すべきかをあらかじめ整理しておくことで、手続きがスムーズに進みます。

どの専門家に相談すべきか迷う場合は、まずは顧問税理士にご相談ください。

【ご案内】

ミカタグループでは、必要に応じて司法書士・弁護士・行政書士とも連携し、中小企業オーナーの経営課題に総合的に対応しています。お気軽にご相談ください。

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