- HOME
- 法務・税務・労務など会社経営に関するお役立ち情報
- ビジネス
- 法律関係
- 中小企業オーナーが知っておきたい「4つのルール」 税法・民法・会社法・会計の全体像
中小企業オーナーが知っておきたい「4つのルール」 税法・民法・会社法・会計の全体像
中小企業オーナーが知っておきたい「4つのルール」
税法・民法・会社法・会計の全体像
「税理士に相談したら民法の話をされた」「弁護士に相談したら税金の話は答えられないと言われた」
――こうした経験をしたことはないでしょうか。会社経営は、実は4つの異なるルールの上に成り立っています。会社法・民法・会計・税法です。それぞれ役割が異なるため、1つの専門家だけに相談していると、他のルールとの食い違いに気づかないことがあります。
本記事では、この4つのルールの全体像を図とともに整理し、中小企業オーナーが注意すべきポイントを解説します。
1. なぜ4つのルールを知っておく必要があるのか
会社を経営していると、「株主総会で何を決めるべきか」「契約書にどんな権利・義務を書くべきか」「決算書にどう記録するか」「税金がいくらかかるか」といった、異なる種類の判断を同時に求められます。これらはそれぞれ会社法・民法・会計・税法という別のルールに基づいています。
1つの出来事(たとえば役員退職金の支給)が、4つのルールすべてに関わることも珍しくありません。それぞれの役割を大まかに理解しておくことで、専門家への相談もスムーズになり、判断の抜け漏れを防ぐことができます。
2. 会社法とは何か-会社の設計図
会社法は、会社という組織そのものの仕組みを定めるルールです。誰が会社の意思決定を行うのか(株主総会・取締役会)、株式はどのような権利を持つのか、役員の任期や責任はどうなっているのか、といった「会社の設計図」にあたる部分を規律します。
中小企業オーナーにとっては、役員報酬や退職金の決定手続き(株主総会・取締役会の決議)、事業承継の際の株式の取り扱い、増資や組織再編(株式交換・株式移転など)の手続きが、主に会社法の領域になります。
3. 民法とは何か-契約・権利関係のルール
民法は、人と人(法人を含む)の間の契約や権利・義務関係を規律する、私法の基本となるルールです。誰が何を請求できるのか、誰にどんな義務があるのか、という関係を定めています。
退職金規程や雇用契約、取引先との契約、相続における遺産分割なども、民法が土台になっています。「規程に書いてあるから当然もらえる」「口約束でも契約は成立する」といった話は、いずれも民法の考え方に基づいています。
4. 会計とは何か-数字の記録・可視化
会計は、会社の経営活動を数字として記録し、決算書という形で可視化するためのルールです。企業会計原則や、中小企業向けの会計基準(中小企業の会計に関する基本要領など)、会社法の計算規定に基づいて、日々の取引を帳簿に記録し、決算書をまとめます。
会計上の記録は、税法上の損金・益金の計算の出発点にもなります。「会計上は費用にしたが、税法上は損金にならない」という食い違いが起きるのは、会計と税法が異なるルールで動いているためです。
5. 税法とは何か-税金の計算ルール化
税法は、税金の金額を計算するためのルールです。法人税法・所得税法・相続税法など複数の法律で構成されており、会社や個人がいくらの税金を払うべきかを定めています。
会計上の利益をベースにしつつ、税法独自の調整(役員退職金の「不相当に高額な部分」の除外など)を加えて、税金の対象となる所得を計算します。会計と税法の基準がずれる部分は、法人税申告書の「別表四」という調整表で処理されます。
6. 図でみる4つのルールの関係
| ↘ ↙ | |
| ↗ ↖ | |
図のように、会社・オーナーを中心に、会社法(会社の設計図)、民法(契約・権利関係)、会計(数字の記録・可視化)、税法(税金の計算)という4つのルールが取り囲んでいます。それぞれ役割は異なりますが、実際の経営判断では複数のルールが同時に関わってきます。
7. 具体例でみる4つのルールの関わり方
言葉だけでは実感がつかみにくいため、会社の意思決定という1つの出来事を例に、4つのルールがどう関わるかを見てみましょう。この流れは退職金の支給に限らず、役員報酬の変更、取引先との契約締結、株式の譲渡など、さまざまな場面に共通します。
4つのルールが順番に関わる
取引先との契約締結、株式の譲渡 など)
このように、1つの出来事が順番に4つのルールを通過していきます。役員報酬の変更であれば「決議→契約内容の変更→決算書への反映→損金算入の判定」、取引先との契約であれば「(社内決裁→)契約締結→決算書への記録→税務上の扱い」というように、内容は変わっても流れの構造は共通しています。どこか1つのルールへの対応だけが抜けていると、後になってトラブルや想定外の税負担につながることがあります。

