1. HOME
  2. 法務・税務・労務など会社経営に関するお役立ち情報
  3. ビジネス
  4. 確定申告
  5. 中小企業が知っておきたい「年末調整」の基礎編 ―仕組みから2026年(令和8年分)の変更点まで、担当者が押さえるべきポイント―
2026/11/06

中小企業が知っておきたい「年末調整」の基礎編 ―仕組みから2026年(令和8年分)の変更点まで、担当者が押さえるべきポイント―

中小企業が知っておきたい「年末調整」の基礎編 ―仕組みから2026年(令和8年分)の変更点まで、担当者が押さえるべきポイント―

毎年恒例の年末調整も、担当者が変われば「何をどこまで確認すればいいのか」が曖昧になりがちな業務です。とくに令和8年分は、基礎控除や給与所得控除の引き上げにより、いわゆる「103万円の壁」が「178万円の壁」へと大きく移動する年でもあります。本記事では、年末調整の基本的な仕組みから、必要書類、2026年の主な変更点、実務担当者が押さえておきたいチェックポイントまで、中小企業目線でわかりやすく整理します。

1.そもそも「年末調整」とは何か

毎月の給与や賞与から天引きされている源泉所得税は、あくまで概算の金額です。生命保険料控除や扶養控除など、年の途中の給与計算では反映しきれない情報を年末にまとめて再計算し、実際に納めるべき税額との差額を精算する手続きが「年末調整」です。

ほとんどの給与所得者は、この年末調整だけで所得税の申告が完結し、個人で確定申告をする必要がありません。会社が従業員に代わって1年分の所得税を精算してくれる、いわば「会社が行う簡易な確定申告」と捉えるとイメージしやすいでしょう。

2.年末調整の対象になる人・ならない人

対象になる人 対象にならない人
(確定申告が必要)
・ その年の最後に給与を支払う会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人
・ 要件を満たすパート・アルバイト(正社員に限らず対象)
・ 年収が2,000万円を超える人
・ 2か所以上から給与を受けており、年末調整をしていない給与がある人
・ 災害減免法により源泉所得税の徴収猶予や還付を受けている人
【重要】
対象にならない従業員がいる場合は、年末調整の対象外である旨を早めに伝え、ご自身での確定申告を案内してください。

3.年末調整で使う主な書類

書類名 主な役割
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養家族の状況を確認する、最も基本となる書類
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 本人の所得に応じた基礎控除額や配偶者控除等を確認する
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料・地震保険料・社会保険料(iDeCoなど)の控除を確認する
(該当者のみ)住宅借入金等特別控除申告書 など 住宅ローン控除など、個別の控除を受ける人が提出する

4.令和8年分(2026年分)年末調整の主な変更点

令和8年分の年末調整では、基礎控除と給与所得控除の引き上げにより、所得税がかからない給与収入の範囲が大きく広がります。

項目 改正前 改正後(令和8年分)
基礎控除(本則) 58万円 62万円
基礎控除+特例加算(合計所得655万円以下) 最大95万円 最大104万円
給与所得控除の最低保障額(令和8・9年分特例) 65万円 74万円
所得税がかからない給与収入の目安 160万円 178万円
扶養親族等の所得要件 合計所得58万円以下(給与収入123万円以下) 合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)

いわゆる「壁」が103万円→160万円ときて、今回さらに178万円まで移動する形です。従業員から「今年は手取りが増えるらしい」といった質問を受けることが増えると想定されます。

施行のタイミングに注意

この改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。一方で、毎月の給与から天引きする源泉徴収税額表の改定は令和9年1月支払分の給与からとなるため、令和8年中の月々の天引きは従来どおりの金額のまま進みます。

つまり、令和8年分は年末調整でまとめて差額を精算するため、例年より還付額が大きくなりやすい年である点を押さえておく必要があります。あわせて、これまで必要だった定額減税の年調処理は令和8年分では不要になり、その点の実務負担は軽減されます。

5.中小企業の実務担当者が押さえておきたいチェックポイント

年末調整の準備を進める際に確認しておきたい事項を、優先順位順に整理しました。

優先順位 チェックポイント 確認の内容
1 給与計算ソフト・年末調整システムの更新確認 令和8年分の様式・控除額に対応しているか、提供元に確認する
2 申告書の新様式での回収 扶養控除等申告書など、様式が変わる書類を対象者から漏れなく回収する
3 扶養親族の所得要件の再確認 所得要件の緩和により、新たに扶養に入れる親族がいないか確認する
4 還付金の資金繰り準備 控除額の拡大により還付額が増える見込みのため、資金繰りに反映しておく
5 従業員への説明 手取りが変わる理由を、専門用語に頼らずわかりやすく伝える
ワンポイントアドバイス

年末調整は、毎年のルーティン業務として捉えられがちですが、令和8年分は税制改正の影響で例年以上に控除額・申告書の様式が変わる年です。まずは「年末調整とは何を精算する手続きなのか」という基本を押さえたうえで、変更点を早めに確認し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが、実務担当者の負担を減らす最大のポイントになります。

【ご案内】

ミカタグループでは、必要に応じて司法書士・弁護士・行政書士とも連携し、中小企業オーナーの経営課題に総合的に対応しています。お気軽にご相談ください。

本記事は基礎編として制度の全体像を解説したものです。個別の控除の適用可否や具体的な計算については、税理士など専門家にご相談ください。

関連記事

おすすめ記事