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2026/06/09

【ミカタラボ新企画!代表対談】AIやITを導入しても解決しない問題がある——「段取り」で動かす、プロジェクトは結局"人"だ(前半)

【ミカタラボ新企画!代表対談】AIやITを導入しても解決しない問題がある——「段取り」で動かす、プロジェクトは結局"人"だ(前半)

ミカタラボ新企画!ミカタ代表対談
〜顧問先代表 × ミカタ代表、経営者の"見方"が変わる話〜

経営者の「生の声」を届けるコンテンツとして、「心の豊かさ」「体験としてのプロセス」「中小企業の社長だからこその悩み」など――人間にしかつくれない価値を、ミカタ代表・柴田とミカタの顧問先社長が語り合います。現場知と問題意識を通じて、全国の中小企業経営者に届けたい。それがこの対談シリーズの願いです。

ゲストのご紹介

伊藤 大輔氏

日本プロジェクトソリューションズ株式会社

代表取締役 伊藤 大輔氏

 

プロジェクトマネジメント(PM)の教育研修・コンサルティング・国際資格取得支援を専門とする企業の代表。幼少期をアメリカで過ごし、帰国後に感じた「日本企業の意思決定の遅さ」への問いを出発点に、35歳でMBAを取得後に創業。大学院客員教授としてイノベーションマネジメントを教える傍ら、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)導入支援を行う。

公式サイト:https://www.japan-project-solutions.com/

「日本はイノベーションの国じゃなかったのか」――疑問が原点に

伊藤代表が創業に至った背景には、少年時代のアメリカ生活が深く関わっています。

伊藤代表

「高校の時、周りの友人たちがアルバイトして稼いだお金でホンダの車を買ったり、カシオの時計を買ったりしているのを見て、『日本ってすごい国だな』と思ったんです。
ところが実際に日本に帰って仕事をしてみると、物事は決められない、会議は延々と続く……
『あれ、これイノベーションの国じゃなかったでしたっけ?』という疑問がずっとありました」

その違和感が35歳での大学院入学・MBA取得へと伊藤代表を突き動かし、「段取り屋さんの専門会社で日本を元気にしよう」という志のもと創業に至りました。
日本プロジェクトソリューションズ株式会社が扱う「プロジェクトマネジメント」とは、企業が新しいことに挑戦する際の「旗振り役・段取り役」を担う学問的・実践的な手法です。DXトランスフォーメーション、新規事業立ち上げ、システム導入など、変革プロジェクトの推進役が社内にいない企業に対して、コンサルティングとして入り込むか、あるいは社内にその役割を担える人材を育てる教育研修を提供しています。

発注者と受注者の「丸投げ構造」が生む、ITトラブルの本質

法的にも問われる「協力義務」と「マネジメント義務」

日本のDX推進において、伊藤代表が繰り返し指摘するのが「丸投げ問題」です。発注者(企業側)がシステム開発やコンサルティングを受注者に任せきりにする構造が、数多くのITトラブルを生み出してきました。

伊藤代表

「発注者側が受注者側に丸投げをする傾向がある。これでいろんなITトラブルが起きていて、IT訴訟の判例として『段取りは発注者・受注者双方が段取り屋さんを設けないとダメ』という判断が出たんです」

この判例を踏まえ、現在は発注者側に「協力義務(プロジェクトマネジメントに協力する義務)」、受注者側に「プロジェクトマネジメント義務(段取りをきちんと行う義務)」が設定されています。中小企業であっても、IT導入やコンサルティングを受発注する場合は、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の設置が法的リスク回避の観点からも重要になってきているのです。

ミカタグループ柴田が見てきた「伸びる社長」と「伸びない社長」の分岐点

同様の構造はミカタの業務でも見られます、と代表の柴田は語ります。税務・会計の専門家(受任者)と経営者(発注者)の関係においても、「任せた側」と「任された側」のコミュニケーション不足が、経営の停滞を招くことがあるからです。

柴田

「伸びる社長の共通項は、私たちに任せてくれながらも、一緒に税や会計を理解しようとする。『うちの事業はこうだ』『将来はこうなりたい』という話をしてくれる。そのビジョンを聞いて、優秀なコンサルタントは『だったらこの方法が良いのでは』と提案できる。これが発注者と受任者の理想の関係だと思っています」

伊藤代表もこの関係性を13年以上にわたって体感してきた一人です。「従業員のために、こういうインセンティブ制度を作りたいのだが会計上できますか」と相談を持ちかけると、専門家側からアイデアが返ってくる――そのやりとりが会社の文化を育ててきたと言います。

「ツールを入れても1年後に使われていない」――DX失敗の構造

問題の本質は「企業風土」にある

創業から13年を超えた伊藤代表が振り返る失敗談には、DX推進に関わる企業なら誰しも心当たりがあるはずの共通パターンがあります。

伊藤代表

「新しいシステムを入れるプロジェクトでご支援しても、結局1年後に行ったら使われていない、という問題がある。AIを入れても最後まで伴走しないと、あまり効率化には繋がらない」

技術的な導入は成功しても、現場で定着しない――この現象の根っこには、ツールの問題ではなく「企業風土」があると伊藤代表は言います。

伊藤代表

「AIで最適解が出たとしても、誰も決められない、物事が進まない。誰かがアクションを起こさないと変革はできない。そこをご支援しないといけなかったのかな、というのが昔ありました。今はもうそこも含めてやっていますが」

この気づきが、現在の同社のコンサルティングスタイルを形成しています。単にプロジェクト管理の手法を教えるのではなく、「なぜこのプロジェクトをやるのか」「未来のあるべき姿は何か」というビジョンを組織として共有するところまでサポートする。それがプロジェクトを成功に導く本質だと考えているからです。

「目的」なきDXは、手段の目的化を招く

柴田も同様の課題を自社内で経験してきたと言います。

柴田

「IT関係やAIを入れようとする時、『なぜ入れて、どうなって、将来どうしていきたいんか』を伝えないと、『入れることが仕事』になってしまう。AをBに変えましょう、と。でもBに変わったらどうなるかが分かっていない。言葉に変えてしつこいくらい伝えていかないと、なかなか人はわからないなと」

高級ブランド車を日本一売ったセールスマンが「車の機能は一切説明しない」という伊藤代表の話は、この点を鮮やかに照らし出しています。車の前に家族で立ってもらい、「この車だとこういう未来がありますが、どう思われますか」と問いかける。重要なのは、機能ではなく「それを使った時の未来のイメージ」を共有することなのです。

前編のまとめ:DX推進の「本当の壁」

1

発注者と受注者の「丸投げ構造」

日本のDX推進では、発注者側が受注者に任せきりにする傾向が根強く、法的リスクも含めた問題を引き起こしています。プロジェクトマネージャーを採用することが不可欠です。

2

技術導入ではなく「組織風土の改善」が本質

優れたツールやAIを導入しても、意思決定や行動を変える組織文化がなければ定着しません。変革には「最後まで伴走する支援」が欠かせません。

3

「なぜやるのか」のビジョン共有が全てのスタート

ツールや手法の前に、「未来のあるべき姿」を経営者・従業員・パートナーが共有することが、プロジェクト成功の絶対条件です。

後編では「AI時代の納得解」「段取りと経営判断」「次世代のリーダー育成」について、さらに深く掘り下げます。

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