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2026/06/10

【ミカタラボ新企画!代表対談】AIが出す「最適解」より大切な「納得解」——「段取り」と人間力こそ、プロジェクトを動かす"人"の力(後編)

【ミカタラボ新企画!代表対談】AIが出す「最適解」より大切な「納得解」——「段取り」と人間力こそ、プロジェクトを動かす"人"の力(後半)

ミカタラボ新企画!ミカタ代表対談
〜顧問先代表 × ミカタ代表、経営者の"見方"が変わる話〜

経営者の「生の声」を届けるコンテンツとして、「心の豊かさ」「体験としてのプロセス」「中小企業の社長だからこその悩み」など――人間にしかつくれない価値を、ミカタ代表・柴田とミカタの顧問先社長が語り合います。現場知と問題意識を通じて、全国の中小企業経営者に届けたい。それがこの対談シリーズの願いです。

ゲストのご紹介

伊藤 大輔氏

日本プロジェクトソリューションズ株式会社

代表取締役 伊藤 大輔氏

 

プロジェクトマネジメント(PM)の教育研修・コンサルティング・国際資格取得支援を専門とする企業の代表。幼少期をアメリカで過ごし、帰国後に感じた「日本企業の意思決定の遅さ」への問いを出発点に、35歳でMBAを取得後に創業。大学院客員教授としてイノベーションマネジメントを教える傍ら、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)導入支援を行う。

公式サイト:https://www.japan-project-solutions.com/

前編のおさらい

【前半】AIやITを導入しても解決しない問題がある——「段取り」で動かす、プロジェクトは結局"人"だ

前半では、プロジェクトマネジメントの専門家・伊藤大輔代表(日本プロジェクトソリューションズ株式会社)をゲストに迎え、日本のDX推進が抱える本質的な課題を深掘りしました。

発注者が受注者に任せきりにする「丸投げ構造」がITトラブルの温床になっている
優れたツールやAIを導入しても、企業風土が変わらなければ1年後には使われなくなる
「なぜやるのか」というビジョンの共有こそが、プロジェクト成功の絶対条件
前編を読む

AIが普及しても「コンフリクト」は消えない——最適解より「納得解」が動かす

大学院でイノベーションマネジメントを教える伊藤代表は、最先端のAI技術をめぐる授業の中でも「人間の本質」が変わらないことを実感しています。

伊藤代表

「ステークホルダーそれぞれの利害が一致しない。それぞれが高度なAIを使ったとしても、それぞれの正義でAIはベストな回答をしているわけだから、コンフリクト(衝突)は消えない。そこをどうにかするのがマネージャーや経営者の仕事だと思うんです」

AIが計算した「最適解」は、数値的・論理的には正しいかもしれません。しかし、それが「なぜその答えなのか」という経緯や文脈を持たない限り、人は納得しません。交通ルールを守らない人の例えが、この問題を端的に示しています。

伊藤代表

「守った方がいいのは当たり前なんだけど、『納得してないから守らない』んです。その辺りの納得をどうやって生み出すかがプロジェクトマネジメントではとっても重要だし、中小零細の経営者さんにも重要なんじゃないかなと思うんです」

「納得解」とは、最適解に「人間的な経緯と信頼」が加わったものです。誰がその答えを出したか、どういう経緯で決まったか、自分の事情を分かってくれている人が勧めているか——そうした要素が揃って初めて、人は動き出します。

「もし私が先生だったら、こうします」——信頼が生む腹落ち感

この「納得解」を生み出す具体的な場面として、柴田が語ったエピソードが印象的でした。

柴田

「整形外科の先生の顧問を担当していた時、選択肢を二つ出したのに15分経っても答えが出ない。そこで私が『もし僕が先生だったらこうします』と言ったんです。そしたら先生が『じゃあそうしてください』と。最後はやっぱり『人の信用感』やなと」

その後、その医師が同じアプローチを患者さんへの治療説明に取り入れたというエピソードも続きます。治療法を提示しても患者は選べない。だから「私だったらこうします」という一言が背中を押す——専門家と依頼者の関係において、信頼の上に乗った一言の力が、AIが大量の情報を処理しても決して代替できないものを示しています。

柴田

「いくらAIが発達しても、最後は『納得感・安心感』を人間は求めます。信頼できる人のアドバイス、一言は大事。そういう人になっていかないと生き残れないし、うちの社員もそうなってほしいなと思っています」

段取りは「経営そのもの」——時間という唯一の不可逆資源

前編で触れた「段取り」の重要性は、この対談を通じてさらに深い意味を持ちます。二人が口を揃えるのが、「時間」こそが経営資源の中で唯一取り戻せないものだという認識です。

伊藤代表

「経営資源『ヒト・モノ・カネ・情報・時間』の中で、二度と戻ってこないのは『時間』なんですよね。いかに時間を有効に使うかが経営者にとって重要。御社のHPにある企業紹介動画の中でもおっしゃっていましたね、『時間の中で未来を作る』と」

柴田

「仕事のできない人は期日が遅い。5月の申告なら5月31日を標準に置くからどんどん遅れてバタバタする。そうではなくて、早く自分で期日を切って工程を作る。準備はいかに資料収集を早くするか。この段取りなんですよね」

段取りとは単なる「タスクの整理」ではありません。未来を描き、逆算して今やるべきことを決め、関係者を巻き込んで動かしていく——それ自体が「経営」そのものだと二人は言います。月次決算を「マイルストーン」と表現した伊藤代表の言葉が、この本質を捉えています。

伊藤代表

「プロジェクトでも『マイルストーン』ってあるんですよ。10キロ地点でのタイムがどれくらいかという重要ポイント。月次決算はまさにそれだったので、やっていてよかったです。みかたさんに出会わなかったら、月次決算、多分していなかったですね」

AI時代に「五感を磨く」理由——人間本来の力を取り戻す

生成AIをはじめとするテクノロジーが急速に進化する中、二人が強調するのが「道具として使いこなすこと」と同時に「人間力を高めること」の両立です。

柴田

「三輪車で行くか、自動車、新幹線、飛行機で行くか。飛行機が一番早い。AIは道具として絶対使っていかないといけない。そうしないと競争にならない。でも最後はやっぱり『オーナー社長』やなと。何を捨てて何を選ぶか、誰を採用するか——この意思決定の判断を間違わないようにするために、『五感』が大事なんです」

規則正しい生活、体に良いものを食べる、良い本を読む——五感を磨くことが、人生の岐路での判断をブレさせないベースになる。そしてAIはあくまでその判断を支援する道具だ、という考え方です。
伊藤代表も、コンサルタントとして経験を積む中で培ってきた「感じる力」を語ります。

伊藤代表

「お客様のオフィスに行くと、何が課題か大体5分くらいで分かっちゃうんです。オフィスの明るさとか、ザワザワ感、物の配置とか。いざ聞いてみると案の定それが課題だったり。AIだったら多分まだ無理なんじゃないかな。感じるもの、本当に不思議ですよね」

「課題解決が価値である」——次世代リーダーへの思いと社員教育

最後に、二人が語ったのは「人材育成」への思いです。伊藤代表が創業以来変えていない信念が、その根底にあります。

伊藤代表

「課題を解決することが価値である。したがって対価が得られる。『俺はこれしかできないからこれしかやりません』というのは何の課題解決にもなっていない。まずは課題解決をお客様に寄り添ってやっていこうよと。そのためのコミュニケーション力を磨いていきましょう、という話をしています」

さらに伊藤代表は、自身の会社をホールディングス化し、意欲ある社員を次々と「社長」として独立させていくビジョンを語りました。

伊藤代表

「頑張ってる子たちを社長にしてみて、一回経験してみろと。視野が変わるぞ、と。そういう経営者としてもいい経験をしたいなと思っています」

これはプロジェクトマネジメントの究極の実践でもあります。ゴール(次世代リーダーの育成)を定め、段取りを組み、ひとりひとりの成長を支援しながら、組織全体の価値を高めていく——それが伊藤代表の描く「未来」です。

後編のまとめ:AI時代に経営者が磨くべき「3つの力」

1

納得解をつくる力

最適解ではなく、相手が腹落ちできる答えを導く力。信頼関係と「なぜそうなのか」の文脈が、人を動かす唯一の方法です。

2

段取り力(時間を経営する力)

取り戻せない「時間」を最大限に活かすために、ゴールから逆算し、マイルストーンを設け、関係者を巻き込む力。これが経営の根幹です。

2

五感・人間力

AIをツールとして使いこなしながら、数字や情報では捉えられない本質を感じる力。規則正しい生活と良い学びの習慣が、大事な局面での判断力を支えます。

DXでも人材育成でも、技術や制度の前に「人」があります。
段取りという言葉に込められた本質——未来を描き、逆算し、人を動かす力——は、AI時代においてもむしろその価値を増しています。

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