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【社長対談 第2弾・前編】学生起業から45年——"やりたいから動く"が、会社を生き残らせた
ミカタ社長対談
〜顧問先社長 × ミカタ社長、経営者の"見方"が変わる話〜
経営者の「生の声」を届けるコンテンツとして、「心の豊かさ」「体験としてのプロセス」「中小企業の社長」——人間にしかつくれない価値を、ミカタ代表・柴田とミカタの顧問先社長が語り合います。
現場知と問題意識を通じて、全国の中小企業経営者に届けたい。それがこの対談シリーズの願いです。
ゲストのご紹介
物価高・人件費上昇・人口減少——中小企業経営者が一度に直面している三つの波。その答えを、学生時代にスキーツアー事業を起こし、45年かけて旅行・インバウンド・不動産へと業域を広げてきた株式会社ホワイト・ベアーファミリー代表・近藤康生様が語ります。
インターネット黎明期にいち早くウェブ販売を始め、コロナ禍での民事再生を乗り越えた経営者の「嗅覚」と「決断力」——その本質を、ミカタ税理士法人・柴田との対話から読み解きます。
「坊主にしたくない」が起業の原点——大阪下町の少年が見つけた自分の道
近藤社長の原点は、意外にも「ヘアスタイル」への反抗心から始まります。
近藤社長
「地元の中学に行くと坊主にしないといけない。でも関学だったらしなくていい。それに憧れて関学の中学に入りました。
小学校の担任の先生がスキーに連れていってくれたのが、スキーを始めたきっかけ。高校3年の時に大学生が主催するスキーツアーに行ったら、『お前上手いからコーチをやれ』と言われて 1年間タダで使われた。だったら自分でやろうと思ったのが最初です」
大学1年次にスキーツアーを立ち上げ、最盛期には100名超のスタッフを束ねる組織に育てた近藤社長。卒業後もそのまま事業を継続し、旅行業の許認可を取得するために会社を設立しました。
しかし、社長自身は振り返って言います。「早く起業することの良し悪しがある」と。
近藤社長
「勢いとやる気だけはあるものの、社会のことが分かっていない。普通の会社への就職経験もないし、経営的な勉強もしていない。
10年20年経ってくると、組織の中で苦労してきた創業者の方々とは少し遅れているな、と感じることがあって。だから20代後半から様々な経営セミナーには相当行きました」
この「欠乏感」こそが、近藤社長を学び続ける経営者にした原動力でした。

「自分はIT音痴」なのになぜ先端を走れるのか——嗅覚と「やれ」の一言
パンフレットをウェブに置き換える、ただそれだけの発想
1990年代後半、インターネット黎明期。近藤社長は旅行業界でいち早くウェブ販売に踏み切ります。業界における先駆者として、大手の旅行会社と並んでオンライン旅行販売システムを共同開発した1社でした。
しかし社長の動機は、技術的な関心ではありませんでした。
近藤社長
「旅行ってものがあるわけじゃないじゃないですか。パンフレットに取って代わるウェブサイトは、旅行に非常に適していると感じた。それだけです。
自分はパソコン音痴で、社内では今もそう言われている。でも社外に行くと『IT長けていますね』と言われる。従業員に“やれ”と言うだけなんですよ。実際には詳しいテクニカルな部分の内容はよく分かっていない」
「これはいける」という自身の嗅覚を信じ、マネージャー全員を某IT専門学校に通わせてウェブ制作を学ばせた。自分は使えないが、学ばせる——この徹底した「人を動かす仕組み」が、組織としてのIT力を育てました。
柴田も、この経営スタイルに共鳴します。
柴田
「社長の仕事は3つだと言われます。
①会社の方向性を決めること、②資源の最適配分、③そして人を動かすこと。
近藤社長はまさにそれを体現されている。
大学生で100人超の組織を作るということ自体、なかなかできることではない。学生時代からも持っておられた素晴らしい資質だと思います」

AIエージェントも「やれ」で始まる——今も変わらない経営スタイル
そのスタイルは今日のAI活用でも変わりません。
近藤社長
「今はチャットで有名な会社と組んで、チャットで出張をオーダーしてもらうと、その中にAIエージェントを入れて、お客様ごとにある程度カスタマイズが入って我々の手配側に落ちてくる、という開発をさせています。
内容はよく分かっていない。
でも、AIをこういう場に使ったらいいという感覚は持てる。これをやれ、と言うだけです」
技術は知らない。しかし「どこに使えば価値が出るか」だけは誰よりも早く見抜く——近藤社長の経営のDNAはここにあります。
「環境適応業」としての旅行業——変化を恐れない45年の軌跡
旅行業というのは、利益率が薄く、参入障壁が低く、競争が激しい。しかもメディアが変わるたびに戦略を変えなければ生き残れません。チラシから新聞、情報誌、パンフレット、そしてインターネット——さらに今は動画まで。近藤社長はそれを「旅行業を選んでしまった宿命だ」と笑います。
近藤社長
「よく『経営は環境適応業だ』と広く言われていますが、旅行業をやっているとそれが当たり前で、間違いなくそうだと思います。分からないことでも、新しいことにどれだけ取り組むかだと思う。失敗の方が多いんですけどね。」
柴田も、変革し続けられる経営者の共通項をこう語ります。
柴田
「事業が長く続いているお客様というのは、いい時に次の投資をされている。成功体験にとらわれない。
先週、名古屋で130年続く会社の会長とお話して、会長室に書道家の書があって。何と読むか聞かれて分からなかったら『常若(とこわか)』だと。常に若くあれという意味で、続けていくためには常にみずみずしく若々しい状態を保たなければならないと言っておられました。
税理士になってから今に至るまでの37年間で見てきて思うのは、伸び続けている経営者と止まってしまう経営者の違いは満足するかどうか。満足した時点で経営者は止まってしまう。そこに大きな違いがあるのではないかと思っています。」

前編のまとめ:激動の45年が教える「変化対応の法則」
嗅覚 × 人を動かす仕組み
「経営者」は詳細な技術内容は知らなくて良い。「これはいける」と感じた瞬間に、学べる人間に任せる仕組みを即座に作る。これが変化対応の実態です。
失敗を恐れず走りながら考える
旅行業の宿命として、メディアが変わるたびに事業を作り直してきた。失敗の方が多いが、“止まらないこと”が生き残りの条件。
いい時に次を打つ
成功体験にとらわれた瞬間に止まる。税理士・柴田が37年間で見てきた「続く企業」の共通点は、常に今に満足せずに、次の投資を怠らないことです。
後編では「インバウンドで会社が生き残った現場の話」「インフレ時代の資産の持ち方」「民事再生から再起した経営者が語る伴走支援の価値」を深掘りします。



