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2026/09/24

【社長対談 第3弾 後編】「極端に選ぶなら、AIが使える未経験者」——AI時代に長く活躍する人材の見抜き方

【社長対談 第3弾 後編】「極端に選ぶなら、AIが使える未経験者」——AI時代に長く活躍する人材の見抜き方

ミカタ社長対談 特別編!
〜採用のプロ × ミカタ社長、バックオフィス人材の"見方"が変わる話〜

ゲストのご紹介

株式会社ヒュープロ

代表取締役 山本 玲奈氏

 

1993年生まれ。幼少期からインドネシア・アメリカなど、18年間を海外で過ごす。慶應義塾大学法学部への入学とともに帰国し、弁護士を志して司法試験の勉強に取り組む中で、士業の就職情報が閉ざされている現状に問題意識を持つ。在学中の2015年に株式会社ヒュープロを創業。士業・管理部門に特化した転職プラットフォーム「ヒュープロ」を運営し、累計2万件を超える転職支援実績を持つ。「Forbes 30 Under 30 Asia 2022」選出。

公式サイト:https://hupro-job.com

前編のおさらい

【社長対談 第3弾・前編】「即戦力を採ったのに、なぜ噛み合わない」——AI時代に変わった、バックオフィス採用の常識

前編では、株式会社ヒュープロ代表取締役の山本玲奈氏をゲストに迎え、AI時代におけるバックオフィス採用の常識と、採用でつまずく構造について深掘りいたしました。

後手の採用が、定着しない採用を生む
最初の一人こそ、分かっている人の目を借りる
守りを固めた会社が、攻めるときに強い
前編を読む

前編では、後手の採用が定着しない採用を生む構造と、即戦力が現場で噛み合わない理由をお届けしました。後編のテーマは、これから誰を採り、どう育てるのかです。「極端にどちらかを選べと言われたら、AIが使える未経験者です」——山本社長のこの一言の背景には、採用の判断軸そのものが入れ替わりつつあるという実感がありました。ミカタ税理士法人・柴田とともに、その中身を掘り下げます。

極端にどちらかを選ぶなら、「AIが使える未経験者」

専門領域の経験者と、未経験だがAIを使いこなせそうな人。どちらを優先すべきかという問いに、山本社長は即答しました。

山本社長

「本当に極端にどちらかしか選べないのであれば、AIが使える未経験者ですね。今、AIを全く使えない、使う気がないという状態だと、かなり採ってもらえなくなってきています」

もちろん、経験が不要になったわけではありません。判断を分けているのは、経験の量ではなく「吸収力」でした。

山本社長

「未経験でも素直に吸収してくれる力があれば、周りに教える人をつけることができるじゃないですか。それこそ顧問の税理士の先生に、しばらく相談しながら教えてもらいながらやろうか、ということもできる。逆に、吸収力がなくて、すでにカチカチに固まってしまっている。即戦力と言われているけれど柔軟性がなく、何も吸収してくれない。そうなると『動かせない人』になってしまって、これはリスクだなと思われることが増えていくと思います」

では、即戦力採用がうまく機能するのはどんな会社なのか。山本社長は2つの条件を挙げます。

山本社長

「1つは、候補者の方が応募したいと思える会社かどうか。候補者もご自身のキャリアのために転職するので、自分を活かせる場所なのかをすごく判断されるんです。企業側も選ばれている、ということですね」

山本社長

「もう1つは、企業側の要件がはっきり定まっているかどうかです。よくあるのが、『経理で、20代で、できれば会計士で、事業会社も一社は挟んでいてほしい。決算も一人で締められて、銀行対応もできて、転職回数は1回まで』……結局、何をしてほしいんですか、となってしまう。何を期待していて、何ができればよくて、何が絶対に必須なのか。ここがきれいに決まっていればいるほど、採用は決まります。私たちも、その整理を一緒にさせていただくところから始めることが多いですね」

求人票を出す前に、何を任せたいのかを言葉にする。中小企業にとって最も難しいこの工程を一緒に引き受けてくれるかどうかが、エージェントを選ぶ際の分かれ目になります。

限られた予算の中で中小企業が備えるべきことについても、率直な指摘がありました。

山本社長

「1つは、お金を惜しまないことです。バックオフィスだからと買い叩こうとしたり、持っているスキルを軽視してしまったりするのですが、失敗コストを考えると、市場に見合った妥当なオファーを出した方が、結果的に安く済みます。もう1つは、面接・面談を本当に大事にすることです。私たちエージェントが一生懸命に会社の魅力を伝えても、候補者は最後、社長に会ったときの印象や、面接のときの社員の雰囲気で決めるんです。面接でしか掴めない。だから面接には、全力で、感じよく、本気で取りに行く心構えで臨んでほしいと思っています」

候補者に会社の魅力を伝え、応募につなげ、要件を一緒に整理し、最後は経営者自身に託す。山本社長の言葉からは、採用を「紹介して終わり」にしない姿勢が一貫して伝わってきました。

「AIが使える」とは、自分の仕事が分かっているということ

「AIが使える人材」という言葉は、どこか曖昧なまま使われています。それは車を運転できるかどうかのように、練習すれば誰でも到達できるものなのか。柴田の問いかけに、山本社長は分岐点は別のところにあると答えました。

山本社長

「AIを使える人と使えない人の分岐点は、AIの知識ではないんです。そもそも自分がやっている業務を分かっているかどうか、が出発点なんですね。自分が何をやっていて、何が必要で、どこで価値を出しているのか。それが分かっていない人が意外と多くて、そういう人はAIを使えないんです」

山本社長

「逆に、業務を分かっている人は『これは削れるな』『これは自動化できるな』『これは自分じゃなくてもできるな』と気づける。そこから『自動化できないかな』とAIに聞けば、こういう方法で実装できますよ、と返ってくる。みんなAIの知識から入ろうとするのですが、まず『仕事を分かっていますか』というところからなんです」

さらにその手前に、言葉の問題があると山本社長は続けます。

山本社長

「究極的には、日本語なんですよ。普段の業務が分かっていない以前に、自分が何を言っているのかが分かっていない。そのまま曖昧な指示をAIに入れて、出てきたものをそのまま上司に見せてしまう。ゴールが分からないまま進めるので、ぐちゃぐちゃになってしまうんです。実際、若手の採用を再開している会社もありますし、1年目はAIを禁止しているという会社もあると聞きます。一番泥臭い業務からちゃんとやらせて、仕事が分かる人を育てないと、その先が続かないという判断ですね」

全員がAIを使いこなす必要はない、というのが二人の共通見解でした。

柴田

「全員が使いこなすのは難しいので、コアになる人がしっかり設計して、それを流していく形になるのでしょうね。車の構造は分からなくても運転はできる。それと同じで、コアになる人がきちんと組み立てて、他のメンバーはそれを活用しながら仕事をする」

山本社長

「そうなんです。だからこそ、感じのいい人がより活躍できる会社になっていく。コアの人が組み立てたものを、みんなで活用していくという形ですね」

AIにできないのは、「感じの良さ」

かつて優秀なバックオフィス人材の条件は「正確・速い・漏れがない」でした。その定義が、いまどう変わっているのか。

山本社長

「1つは、感じの良さです。これが一番大事で、AIにはできないんですよ、感じがいいというのは。中小企業であればあるほど、これまでの経緯があったり、しきたりがあったり、人間関係や社内の雰囲気を大事にしていたりする。ここはやはりAIには代替できないところなので、感じの良さは前提として絶対に必要になってきます」

山本社長

「もう1つは、学習し続けられるかどうか。AIの使い方にしても、経理にしても、コンプライアンスにしても、時代が変わるのが早すぎるんです。今持っている知識やスキルに頼っていたら、その変化には追いつけない。ですから、学習力があるかどうかがすごく見られるようになっています」

そしてこれは、採用される側だけの話ではありません。

山本社長

「今後は『この会社は感じがいいかどうか』で選ばれる時代になってくると思います。AIやDXと言いますが、それは究極、誰がやっても同じ形になる。だとしたら、一緒に働く人たちの雰囲気がどうなのか、感じがいいかどうかが、選ぶ基準になってくる。人的資本という言葉が話題になりましたが、本当の意味での人的資本はここだと思っています。DXは外注してでも、人を育てる・雰囲気を作る・組織を作ることにはお金をかける。そういう選択です」

育てるとは、「毎日接する人が、毎日言い続ける」こと

未経験者を採用したとして、どう定着させ、育てていくのか。柴田の答えは、制度でも研修でもありませんでした。

柴田

「未経験者は、育てる人がいれば育つんです。会社のビジョンがいい、方向性がある、利益が出て給料も上がる。それは必要条件ですが、最後はやっぱり、お父さんとお母さんと一緒なんですよ。毎日接しているから、毎日言わないといけない」

柴田

「歯を磨きますよね。なぜ磨くのか。顔を洗いますよね。なぜ洗うのか。おそらく父親や母親に言われ続けなかったら、磨こうとも思わないわけです。勉強しなさい、手を洗いなさい、挨拶しなさい。それを20年間言われ続けてきたから、今がある。だから、ここがしっかりしている会社は育つし、そうでない会社は育たない。『一回言ったのに、なぜできないんだ』で終わってしまうところは、やはり難しいと思います」

山本社長も、若手の多い自社での実感を重ねます。

山本

「私が一番気にしているのは、月曜の朝一なんです。新しく入った人が、生き生きした気持ちで来ているのか、行きたくないなという気持ちで来ているのか。そのスタートコンディションが一番気になる。顔色も見たいし、声も聞きたい。AIをどんどん活用していくとしても、教育において必要なのはフェイス・トゥ・フェイスで、人が人を見てあげることだと思っています」

面接で見ているのは、「乗り越えた経験」

採用の最終局面である面接で、二人は何を見ているのか。山本社長の基準は3つでした。

山本社長

「1つ目は、感じがいいというか、性格がいいかどうか。2つ目は、努力した経験があるか。何かを乗り越えた経験ですね。3つ目は、目標を達成した経験があるかどうかです」

山本社長

「理由は明確で、乗り越えなければいけないことは、この先の人生の方が圧倒的に多いからです。学生時代の20年に比べて、その先の40年、50年の方がずっと長い。20年の中で『もう嫌だ』と思ったことから今逃げてしまうと、その先はもっと逃げることが上手になってしまう。だから、そこに向かって努力した経験、やり抜いた経験を見ているのかもしれません」

柴田は、年次によって見る場所を変えていると言います。

柴田

「管理職や幹部社員の方であれば、これから何をやろうとしているかよりも、今まで何をやってきたかという実績を見ます。一方で若い方は、仕事の実績がまだないですよね。ですから、人生で今まで死ぬほど頑張ったことがあるかどうかを見ています。何でもいいんです。勉強でもいいし、甲子園を目指したでもいい、サッカーでもいい。何かに本気で打ち込んだ経験があるかどうか。若い方ほどそちらを、年を重ねた方は実績を、という見方ですね」

経営者へのメッセージ——「これで合っているかな」の段階で相談してほしい

対談の最後に、バックオフィス採用に悩む中小企業経営者へのメッセージが語られました。

山本社長

「やはり、早めに相談することですね。『うちのバックオフィス、これで合っているのかな』というレベルから、まず相談を始めてほしいんです。いなくなってから、何かがあってから、という採用だと、そこから最低3ヶ月はかかります。これまでちゃんと採用してこなかった会社だと、採用要件を固めるだけで1ヶ月は平気でかかってしまう。営業部門ではないからこそ、あまり労力をかけたくないと思われるかもしれません。でも、土壇場になると時間も労力もかかる。だからこそ早め早めにやっておくと、ものすごく楽になります」

柴田

「どういう目標を持っておられるか次第だと思います。10人規模なら、なんとかなってしまうこともある。でも30人から50人、100人、300人と中堅企業に向かっていくのであれば、絶対にお金をかけないと無理です。そして、スキルが高いというだけでなく、ビジョンを共有できる人はなかなかすぐには見つかりません。お金をかけていただくのは当然として、時間もかかる。社長がどの方向を目指しておられるのか。そこから逆算して考えていただくのがいいと思います」

後編のまとめ:AI時代の採用と育成、3つの行動原則

1

判断軸は「経験の量」から「吸収力」へ

極端に選ぶならAIが使える未経験者、という答えの本質は、変化を受け入れて学び直せるかどうか。固まってしまった即戦力は、動かせない人材になりかねません。

2

AIを使えるかどうかは、自分の仕事が分かっているかどうか

業務を理解しているからこそ「削れる」「自動化できる」と気づける。AIの知識から入るのではなく、まず仕事の解像度を上げることが出発点です。

3

育てるのは制度ではなく、毎日接する人

毎日言い続ける人がいる会社は育ち、一度言って終わる会社は育たない。AI時代であっても、人が人を見るという行為の価値は下がりません。

採用の常識は変わりました。しかし変わらないのは、「この人と一緒に仕事ができるか」を見極める目と、入ってきた人を毎日見続ける姿勢です。そしてその手前には、自社の要件を一緒に言葉にしてくれる相手がいるかどうかという問題があります。士業・管理部門という領域だけを見続けてきたヒュープロ様のような存在は、中小企業にとって心強いパートナーです。バックオフィスの採用や体制でお悩みの際は、問題が起きてからではなく、「これで合っているかな」と思った段階で、ミカタにご相談ください。

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