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2022/11/01

クリニックの事業承継

クリニックの事業承継

クリニックにとって事業承継は、地域医療を持続的に支えるためにも、ファミリービジネスの永続を考えるためにも、避けては通れない問題です。

いつ、誰に、どのように承継するのか、じっくりと慎重に考えておく必要があります。円滑に事業承継をおこなうためには、事前の対策が不可欠となりますので、あらかじめ専門家とともにクリニックの将来について考えておくことをお勧めします。

クリニックの事業承継について

クリニックの事業承継については、大きく分けて二つの選択があります。

ひとつは、お身内に事業を引き継ぐ親族内承継、もうひとつは第三者に事業を引き継ぐ第三者承継です。

(1)親族内承継について

個人クリニックの場合

個人のクリニックの場合、クリニックで使用しているものは、院長先生個人の所有物となります。したがって、事業承継にあたっては、土地建物をはじめ医療機器などの所有権をどのように後継者に移していくかが重要になります。

移転方法
  • 売買
    クリニックの財産を、個人間での売買によって移動します。財産の価値を算出し、その金額を用いて当事者間で売買します。親族間であったとしても適正額で売買する必要があります。
  • 贈与
    先代から後継者へ財産を贈与することによって、クリニックの財産を移動します。贈与を受ける後継者に多額の贈与税が発生することが想定されます。所得税・贈与税・相続税をトータルで考えてバランスよく計画的に実行することが必要です。
  • 相続
    先代の死亡により、クリニックの財産を後継者が相続します。あらかじめ対策をしておくことで、相続税法上の特典を最大限活用することが可能になります。

医療法人の場合

持分のある医療法人の場合には、クリニックの財産を直接承継するのではなく、医療法人の出資持分を移動することで承継することになります。

医療法人は法律上配当が禁止されているため、法人内部に利益が蓄積され、出資持分の評価額が非常に高額になることがよくあります。

そして出資持分の評価額が高額であるために、承継時に多額の負担が生じるケースが頻繁に見受けられます。

したがって、持分のある医療法人の事業承継の場合には、事前に出資持分の対策を考えておくことが重要になります。

また、医療法人の出資持分だけではなく、いわゆるMS法人の株式やその他の個人財産についての相続対策についてもあわせて行うことが重要になってきます。

※基金拠出型医療法人の場合、出資持分はありません。

移転方法
    • 売却
      出資持分の評価額を算出し、先代と後継者で売買によって移動します。
    • 生前贈与
      出資持分を贈与により移動します。贈与税の基礎控除を活用しつつ複数年にわたって贈与をすることが多いです。
    • 相続
      先代の相続発生により医療法人の出資持分を承継します。

個人の場合も、医療法人の場合も、いずれの移転方法が有利であるかはケースバイケースで異なります。また、いずれか一つの方法に限定されるわけではなく、各種税法をトータルで考慮しつつ、移転方法をバランスよく組み合わせることで、ファミリーの手取りを最大化することが可能になります。

(2)第三者承継について

親族内に後継者がいない場合には、第三者にクリニックを譲渡することが考えられます。廃院してしまうよりも、第三者にクリニックを承継したほうが経済的に有利になることが多く、地域医療への影響も少なく済みます。

個人の場合も医療法人の場合も、ともに、承継先を探し、契約を締結して、事業を承継することになります。クリニックの資産負債の状況、集患力などを考慮して譲渡価格を決定することが重要です。相手方との交渉や譲渡価格の算定に当たっては、専門家のアドバイスが必要不可欠となります。

まとめ

MIKATAグループでは、病院・クリニックなどの事業承継におけるスペシャリストが多数在籍しているので、どんな細かいことでも、ぜひお気軽にご相談ください!

クリニックの事業承継には大きく分けて二つの選択があります

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