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気づいていない悩み、ありませんか?
顧問税理士の役割として重要なことは、経営者やオーナーが気づいていない「悩み」を掘り起こし、心配事やリスクだと感じていることに、先んじて解決策を提案することだと考えています。
一般的に、問題には3つの種類があります。
一つは、発生型問題。
目の前で発生した、すぐに対処しなければならない問題のことです。問題が顕在化していてわかりやすい一方で、対処するまでの時間も手段も限られてしまいます。中には、どう対処しても損害を被る、手遅れな問題もあります。
税務でいえば、毎年のように発生するのが、確定申告や決算であり、これは期限のうちに対処しなければならない問題となります。しかも過去1年間の結果を集計するため、確定申告であれば2月15日以降、決算であれば期末以降に対処できることはあまりありません。
また経営者に万が一のことがあった場合の相続も、発生型問題と位置付けることができます。
多くの顧問税理士は、確定申告や決算、あるいは相続税の計算と納付を正確かつ滞りなく期限内に済ませることを仕事にしており、依頼している法人の経営者や個人事業主の期待もそこにありました。
つまり【税理士】は、3つの問題のうち、1種類の問題にしか、対処していなかったことになります。また発生型問題においては、誰がやっても同じ結果になるのが税務というものです。
二つ目は、潜在型問題。
顕在化していないが、将来的に問題になりそうだと予見できる問題のことです。まだ問題は発生していないので、問題が顕在化するまでに時間的な余裕があり、かつ対策や手段の幅も広い状態です。
実は、経営者の悩みの9割は、まだ発生していない、潜在的な問題に集中しています。 会社経営はうまくいくだろうか?個人や家族に資産を残せるだろうか?万が一の時に、会社や家族が再起をかけるだけの資源があるだろうか?
常にまだ見ぬリスクに対して不安を抱えながら経営しているのが実際のところです。これらが、潜在型問題に分類されます。
潜在型問題は、発生型問題に変わる前に対処することで、顕在化せずに解決することもできます。しかし時間を先回りして対処しなければ発生を免れることができなくなります。しかもその「時間の先回り」は、10年単位と非常に息の長い取り組みが必要なこともあります。
「オーナー社長が、法人にお金を残して、個人は不動産しかない場合、相続する家族は不動産の相続税を現金で支払わなければ資産を残せません。しかしその現金がきちんと家族の手元にあるのか? といった悩みは非常に多くあります。相続の前に、資産の組み替えをしなければなりませんが、これは1年や2年では難しく、10年先を予見して準備しなければなりません」
将来を見通す余裕がない経営者も数多くいますし、見通したとしても、その対処法を税の面から理解している経営者となると、さらに限られるでしょう。
顧問税理士が潜在型問題に気づき、聞き出し、対策を提案しなければ、第一の問題、すなわち発生型問題として目の前に突きつけられ、限られた対処に追われることになるのです。
(続く)