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2026/08/06

【第1回】人手不足時代の外国人雇用!『確認漏れ』ひとつで、会社を失うかも!?

【第1回】人手不足時代の外国人雇用!『確認漏れ』ひとつで、会社を失うかも!?

人手不足時代の外国人雇用!『確認漏れ』ひとつで、会社を失うかも!?

人手不足の解決策として注目の外国人雇用ですが、在留資格の確認漏れは「不法就労助長罪」などの深刻な経営リスクを招きます。

本記事では、リスクを最小限に抑え、外国人を安心して活用するための「在留資格の基礎知識」から「実務上のチェックポイント」「トラブルを防ぐ社内体制」まで網羅的に解説します。偽造カードの判別手順や社内規定の整備など、現場で即実践できる実務ポイントを理解することができます。

1.不法就労を防止する「在留資格」の基本ルール

外国人を雇用する際、最も基本でありながら重要なのが「在留資格」の確認です。外国人が日本で働くことができるのは、「出入国管理及び難民認定法(入管法)」で定められた在留資格の範囲内に限られるためです。たとえ悪意がなかったとしても、確認不足で不法就労をさせてしまった場合、事業主も不法就労助長罪3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科可)に問われます。なお、令和9年(2027年)4月1日以降は「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(併科可)」へと大幅に強化されることが決定しており、企業には厳格な管理が求められます。

ここがポイント:立証責任は「会社側」にある

本罰則は、故意でなくても確認義務を怠った「過失」があれば処罰を免れられません。「過失がなかったこと」を証明する責任は会社側にあります。そのため、単に確認するだけでなく、「法令を遵守し、義務を果たした」ことを客観的に証明できる管理体制を整えることが必要不可欠です。

どのようなケースが「不法就労」に該当するのか改めて整理しておきましょう。

  1. 不法滞在者や被退去強制者が働くケース
    • オーバーステイや、密入国した者が働くこと
    • 退去強制されることが決まっている人が働くこと等
  2. 出入国在留管理庁から働く許可を受けずに働くケース
    • 留学生、難民認定申請中の者が許可を得ないで働くこと
    • 観光などの短期滞在目的で入国した人が働くこと等
  3. 在留資格で認められた範囲を超えて働くケース
    • 調理人や、語学学校教師として認められた人が工場で単純労働をすること
    • 留学生が許可された労働時間を超えて働くこと等

2.実務上のチェックポイント

不法就労に加担しないために、実務担当者は、在留カードの「正しい見方」と「在留資格」に関する知識が必要不可欠です。

(出典:出入国在留管理庁「在留カード及び特別永住者証明書の見方」)

在留カードのチェックポイント

表面には、見本のように氏名や生年月日、就労制限の有無などの重要情報が記載されています。

  1. 就労制限の有無:
    最も重要な項目です。「就労不可」と書かれていないか必ず確認してください。
  2. 有効期間(満了日):
    1日でも過ぎればオーバーステイです。

    実務ポイント!
    在留期間満了日までに更新・変更申請をしていれば、①処分がなされる日、②満了日から2ヶ月経過日のいずれか早い日まで従前の在留資格で在留・就労が可能な場合があります。
    その際は、カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中であることが記載されますので、確認しましょう。

  3. 真偽の確認:
    近年、精巧な偽造カードも出回っています。不法就労に加担しないために、以下の手順をルール化すると安心です。
  • ステップ1(目視確認)ホログラムや有効期限をチェック
  • ステップ2(番号照会)「在留カード等番号失効情報照会」で在留カード番号及び有効期間確認
  • ステップ3(アプリ照会)「在留カード等読取アプリケーション※」でICチップ読み取りによる偽造判定

※不法就労防止には3ステップの確認が不可欠です。目視確認、番号照会による失効チェック、その上でアプリによるICチップ照合をルール化しましょう。また、照会結果や日時の記録(スクリーンショット等)の保管も重要です。これは立入検査時に「過失なく法令を遵守していた」客観的な証拠となり、万一のトラブル時に不法就労助長の意図がなかったことを証明する強力な免責材料となります。

在留資格は、以下の4色(区分)で整理すると理解がスムーズです。

  1. 【青枠】専門的な知識を要する職種(技術・人文知識・国際業務など)
    いわゆる「就労ビザ」です。
    • 特徴:
      「翻訳」「エンジニア」など、許可された特定の仕事に限って就労可能です。
      人手不足によるレジ打ちや清掃等の現場作業(単純労働)への従事は、不法就労助長罪に問われる恐れがあるため、厳禁です。また、2026年3月より派遣受入れ時の誓約書提出が義務化されました。派遣期間と在留期間が連動し、派遣先にも調査協力義務が課されるため、派遣元・派遣先双方は管理台帳の整備などコンプライアンス体制の再点検が不可欠です。
  2. 【緑枠】制限なしの身分系ビザ(永住者・日本人の配偶者等など)
    • 特徴:
      職種の制限がなく、現場作業から専門職まで日本人と同様にフルタイムで働けます。複雑な職種確認が不要なため、採用初心者の方が最も安心して雇用できる区分です。
      ここだけは注意!
      「身分系」であっても、以下の2点は必ずチェックしてください。
      • 在留期限:
        永住者以外は期限があります。期限切れでの就労は厳禁です。
      • 身分の喪失:
        「日本人の配偶者等」の方が離婚した場合などは、資格が失効する可能性があります。
        「身分系だから安心」と過信せず、社内で定期的な在留カードの確認、ルール構築(例えば、「期限管理リスト」の作成等)が必要です。
  3. 【水色枠】個別ルールあり(特定技能・特定活動)
    • 特徴:
      パスポートに綴じられた「指定書」に記載された会社・仕事内容でのみ就労が可能です。必ず「指定書」の原本を確認する必要があります。
  4. 【オレンジ枠】原則就労不可(留学・家族滞在)
    • 特徴:
      本来働くことが目的でないので、就労できません。在留カードの裏面に「資格外活動許可(原則週28時間以内)」の記載がある場合に限り、アルバイトが可能です。
      ここだけは注意!
      「資格外活動許可(原則週28時間以内)」の記載があっても以下2点は留意が必要です。
    • 時間管理:
      1分でも時間を超えると不法就労になります。シフト管理が極めて重要です。
    • 禁止業務:
      風俗営業、性風俗関連特殊営業又は店舗型電話異性紹介営業等に従事することはできません。

3.トラブル防止のための社内体制づくり

社労士の視点から社内ルールに組み込むべき4つのポイントを解説します。

  1. 言語の壁による「認識のズレ」防止
    労働条件通知書の言語に法的指定はありませんが、本人が理解できる方法(平易な日本語や母国語)で明示する努力義務があります。母国語訳を併記する際は、訳によるニュアンスの違いを防ぐため、「日本語を正文とし、訳文と相違がある場合は日本語を優先する」旨を明記しましょう。
  2. 就業規則による「ルールの明確化」
    外国人特有のリスクを見据えた規定を盛り込みましょう。
    • 当然終了規定の追加:
      「在留資格が更新されなかった場合、または在留資格の効力を失った場合は、本契約を労働契約の履行不能による終了とする」
    • 届出義務の明記:
      在留カードの更新、氏名の変更、在留期間の更新申請受理などがあった際、直ちに会社へ届け出ることを義務化します。
    これらを就業規則に明文化し、事前に合意しておくことで、万一の資格喪失時も不当解雇を巡る紛争リスクを最小限に抑え、円滑な雇用終了が可能となります。また、更新忘れを早期に発見し、会社が「知らぬ間に不法就労助長罪の加害者」になることを防ぐ効果もあります。
  3. 業務内容と在留資格の「整合性を具体化」
    業務内容や賃金控除は、日本人以上にトラブルが起きやすい項目です。「技術・人文知識・国際業務」等の資格では、従事させる業務が許可範囲内(専門職)であることを明確にする必要があります。曖昧な記載を避け、寮費等の控除額も具体的に明示することで、誤解による離職を防げます。
  4. 「確認兼同意書」の活用
    入社時に雇用契約書とは別で「在留状況に関する同意書」を取得しましょう。本人への自覚を促すと同時に、会社側の管理義務遂行を証明する証拠となります。
    • 現在の在留資格および在留期限の再認識
    • 状況変更時の速やかな報告の徹底
    • 資格喪失時の契約終了への合意
ワンポイントアドバイス

外国人雇用は有力な選択肢ですが、厳格なルール遵守が不可欠です。本記事で解説した「在留カードの確実な確認」や「就業規則等の体制整備」等を正しく運用し、法的リスクを最小限に抑えましょう。実務上の不安や規程の再点検は、ぜひミカタ社会保険労務士法人へご相談ください。

次回は、「外国人労働者の労務管理と労働社会保険の適用」について、日本人との違いや盲点になりやすい論点を、第3回では、退職・帰国時の実務(脱退一時金、離職届出)を解説予定です。ぜひ合わせてご覧ください。

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